子犬のしつけ

 キャバリアはトイグループ(愛玩犬)に属します。愛玩犬には小型犬が多いのですが、キャバリアはそんな小型犬の中では大きい方です。
 イギリスはじめヨーロッパにおける最も古いスパニエル種がご先祖です。そして英国王室で代々寵愛を受け、一時は絶えてしまったのですが、チャールズ王の御名まで頂戴して20世紀初期にカムバックしてきました。また”キャバリア”というのは、中世イギリスの乗馬騎士という意味です。初期のブリーダー達は、古き良き時代とその当時の騎士道精神に想いを馳せ、見事に力強く復活してきました。
 王室や貴族階級で長い間愛玩犬として寵愛を受けてきたため、攻撃性はまるでなく、人に吠えて威嚇するようなことは決してありません。性格は明るくいつも楽しげで、愛情表現もやさしく細やかです。子犬のころは元気ないたずらっこですが、成犬になると素直で明るく上品な貴族の雰囲気をもつ犬となるでしょう。
 本来の性質を損なうことなく、ノビノビと育てていってください。その情感の豊かさとノーブルな振舞いを違感なく発揮してこそ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルといえます。愛玩犬の中の愛玩犬、人間との相性は他に類をみません。
 しつけとしては、きびしくするのはどうもダメなようです。プライドが高いので心を傷つけるばかりです。体罰はしないように。楽しみながらゆっくりと、うんと褒めてあげながら行なうのが効果的です。とても賢く、人の心をよく理解します。
 中には、言ったことが子犬に通じているかどうかよく解らない、といわれる方がいますが、あなたの子犬はまだ人間の言葉に慣れていないだけです。そのうちに、”あら、この子は何でもわかっているわ!”となります。それにキャバリアという犬種の性格上、鋭角的な反応が少ないのです。いつも楽しそうにシッポをユラユラさせていますが、これでなかなかデリケートで何でもよくわかっていますからご安心ください。
 しつけ、というのは人間と犬が、家庭内でも人間社会でも、より楽しい生活を送るために必要なものです。ですから、それぞれの家庭により多少ちがってきます。人間の子供でも家庭によりしつけがちがうのと同じです。でも多少の違いはあっても、常識として正しく社会に通じるものでなくてはいけません。これも子供のしつけと同じですね。

 キャバリアは全ての犬種の中で最もしつけのしやすい犬種といわれています。ゆったりとしつけを楽しむことのできる犬種です。どうか皆様も楽しんでください。

<トイレのトレーニング>

 あなたがキャバリアの子犬と出会った瞬間から始まってしまう最初のしつけが、”トイレ”です。そして、これは生理現象ですから、今日はやめましょう、というわけにもいかず、最後までどんな状況でもついてまわるのも、”トイレ”です。
 室内小型愛玩犬のこのトイレのしつけでお困りの方、意外に多いのです。大雨や嵐にもかかわらず、犬をトイレ散歩に連れ出さざるを得ない、というのもこの一例です。あなたの体調が悪いときでも、犬をトイレ散歩に連れていってあげるというのは、犬想いの自慢にはなりません。いかなる状況下でも室内でできるように、必ずトイレのしつけはつけておきましょう。

 むずかしくはありません。ここでサークルがとても役に立ちます。初めの1〜2週間、サークルの中に用意したトイレで排便させること。犬は寝床では排便はしないという習性を利用します。食事や睡眠など、日課に従っているなら、子犬の排便には決まったリズムがあることが分かると想います。だいたい1日に大便は何回くらいするか、また寝起き、食後、遊んだ後のいつ頃にしたがるか。そして、排便の前に、グルグル回ったり、臭いかぎをするなどの様子をみせるか、などです。
 眠っていた子犬が目を覚ましたとき、それはオシッコがしたくなったときです。子犬がそろそろ排泄するかなと思ったとき、サークル内のトイレ(新聞紙)に上手にできるように仕向けてあげましょう。上手にできたら、タイミングよくうんと褒めてあげます。子犬によくわかるように心からオーバーなくらいに褒めてあげましょう。
 失敗させないように、新聞紙は広く何枚も重ねてひいておきます。もし失敗して新聞紙以外のところへしても、決して叱らないように。そっと臭いが残らないように、きれいに拭きましょう。そしていつもトイレはきれいにしておきましょう。24時間態勢で子犬から目を離さなければ、ほとんど最初の数日間でトイレを覚えます。

 部屋で決められたトイレに排便できるようにするしつけは、サークル内でのしつけが終ってからにします。室内の子犬のトイレの場所ですが、最終的には人目につきにくい場所に決めるとしても、はじめはわかりやすい場所からスタートです。
 トイレの大きさは、グルグル回れる大きめのものがいいでしょう。子犬をサークルから出した時には、いつもはじめにトイレに連れていき、”ここがトイレよ”と教えておき、それから遊ばせます。  あなたの部屋がとても広い場合は、狭く区切ってはじめます。
良いときと悪いときの”言葉”を家族のみんなで統一しておきましょう。たとえば、”ダメ”、”いけない”、反対に”よしよし”、”おりこうさん”、短い言葉であれば何でもいいでが、どれを使うかは統一しておかないと子犬は迷います。
 上手にトイレができたときは、”よしよし”と声をかけてうんとオーバーに褒めてあげます。
 トイレ以外のところへ排便しようとしているとき、あるいはしている最中、タイミングよく、”ダメ!”と声をかけます。そして正しい場所へ連れて行き、”ここでしようね”とやさしくいいます。もしちがう場所で排便してしまった後であれば、忍、の一字です。決して叱ってはいけません。心で泣いても顔には出さず、そ知らぬ顔をしてきれいに拭き取っておきましょう。
よく失敗した場所のオシッコに鼻先を持っていって、臭いをかがせながら”ダメ!”と言って叱る、とありますが、逆効果なだけです。”ダメ”を使えるのは、まさにその瞬間だけ、ということです。 そして徐々に広い部屋でも隣の部屋でも大丈夫なようにと、少しずつトイレを移動させながら、最終的に決めた場所へと誘導していってください。

 だんだん子犬も成長して、外へ散歩に連れ出すようになってくると、土の上や草地を好んで排便するようになってきます。でも、大雨の日、飼い主が病気のとき、旅行先や訪問先、犬自身が病気のときなど、家の中でトイレをしてほしいときがいっぱいあります。いつでも新聞紙(ペットシーツ)を置いたところがトイレと理解できるようにしておくと大変助かります。

 また、散歩のときの便の始末は、必ず責任をもってしましょう。
ポケットにビニール袋を数枚入れて持って行けばかさばりません。手に袋をかぶせ便をとれば、手も汚しません。家に持ち帰って始末しましょう。

 トイレの習慣がしっかりつきましたか?
 とてもうまくいって安心していたのに、この頃また時々失敗してしまう、という時は、次の2点を考えてみてください。
1、家族の留守中によく失敗している場合は、トイレの大きさやトイレの設置箇所が足りているかを調べましょう。トイレにも他の場所にもしてあるときは、多分トイレの場所が足りないと思われます。キャバリアは、一度排泄した場所をきらうようです。
2、家族が在宅しているのに、知らない間にとんでもない場所に排泄してある。これは、精神的な欲求不満が考えられます。家族の誰かに何か変化はなかったでしょうか?たとえば、いつもよくかわいがってくれたお父さんが長期出張に出かけたとか、かわいい赤ちゃんが生まれたとか、お兄さんが受験でみんなが気を使っているとか、何か環境の変化はなかったかでしょうか。キャバリアは人の気持ちをよく感じとります。結構デリケートなので内心ストレスがたまり、ちっとも顔に出さないので気がつかないことがあります。キャバリアを取り巻く環境で不安に感じていることがないか考えてみましょう。何か思い付くことがあれば、とり除いてあげるとすぐにトイレもおかしな場所にすることもなくなるでしょう。
 また、身体的にどこか気持ちの悪いところがないか、みてあげましょう。耳の中がいつもかゆかったとか、眼がずっと結膜炎で気持ち悪かった、などイライラの原因となることがあります。
 犬はしゃべることができないので、飼い主にトイレを使って訴えることがあるのです。トイレのしつけができていたはずのキャバリアが失敗したときは、何か原因があると思って、叱らないで考えてあげましょう。そして思い当ることがあれば、できるかぎりそれを取り除いてあげましょう。それが無理な問題であれば、スキンシップを増やし和らげてあげることです。

<社会化の時期>

 子犬が生まれて4週令〜12週令の時期が、その犬にとっての一生を決定する、といってもよいほど重要な意味をもつ時期です。
一匹の犬がこの世に生を受けてから、一生を共にする家族にめぐりあえるのが、ほとんどのケースで生後8週令〜10週令前後頃です。子犬は、母犬や兄弟犬と過ごすことにより、犬(同属)としての貴重な勉強をし、人の世話を受けることにより、人間社会への参加ができるようになります。これができる時期は限られていて、”社会化期”といわれています。
 犬は両親犬(先祖)から受け継ぐものと、後の環境によって得られるものと、学習によるものがあります。これらはバラバラなものではなくて、お互いに相互作用して発現するものです。いくらすばらしい資質を持って生まれた犬でも、まちがった飼い方によりダメ犬にしてしまうのは簡単なことです。反対に少し欠点をもった犬でも、深い愛情と一貫したすばらしいしつけにより、誰からも愛され、どこに連れていっても恥ずかしくない名犬に育てることもできるのです。
 犬の”社会化期”は、あなたの子犬をすばらしい犬にする為にたいへん重要なそして短い限られた期間でのチャンスですから、”社会化期”の意味をよく理解して子犬に役立ててください。

[0〜2週令]
まだ、眼も見えず、耳も聞こえず、母犬に抱かれて巣箱の中だけの世界です。

[3週令]
見たり、聞いたり、歩いたり、いろんな機能が急速に発達し、排泄も自分でできるようになり、巣箱からでてきます。

[4〜12週令]
母犬から犬としての教育を受け、兄弟犬から同属としてのつき合い方をお互いに学び、人間の世話を受けることにより人に慣れ、社会にも慣れる。

[3ヶ月〜成犬]
社会化期を基礎に心身共に発育する。

* 社会化期前半
 母犬、兄弟犬、繁殖者と過ごす時期と考えてください。
 母犬が、残念なことに子犬が生まれてすぐに死んでしまって子犬だけが残された場合、あるいは、1匹だけしか生まれず(育たず)兄弟犬がいなかった場合、その子犬はかなりのハンディを負うことになります。
 またあまり早く母犬や兄弟犬と別れ、新しい飼い主のもとへいった場合、健康ばかりでなく、子犬の教育面でもハンディを負うことになります。
 8週間くらいは母犬、兄弟犬といっしょに過ごさせる方がよいのですが、できれば2ヶ月、どんなに少なくても6週間は繁殖者の手元で育ててあげたいものです。母犬や兄弟犬と共に過ごすことにより、犬としての様々なことを知ることになります。群れとしての共同意識、服従、挨拶、など大切なことを哺乳や遊びを通して身につけていくのです。
 社会期の前半は、子犬の離乳の時期にもあたり、人間から離乳食を食べさせてもらったり、寝床をきれいにしてもらったり、体の手入れもしてもらったり、手厚い世話を受けるほど、よくなつき、信頼を深めます。

* 社会化期後半  子犬が母犬や兄弟犬と別れ、新しい飼い主のところへ移ってから、3ヶ月までの時期です。
 まだ幼い犬にとっては大変な環境の変化をむかえることになります。できる限り前の環境を配慮した接し方が望まれます。
 離乳食を完全にし(固いままのフードで食べられる)これからのその子犬の一生を思い、人間への社会化を確立させましょう。
子犬といっしょにいる時間が長ければ長いほどよいことはいうまでもありません。そして、できるだけの世話と、スキンシップが効果をあげます。乱暴であったり、一慣性のない接し方はマイナス効果です。過保護すぎるのも社会面での自立を妨げます。

* 良い犬をつくるために
 犬は、両親犬より受け継いだ遺伝子による潜在的な能力と、生まれてからの環境との相互作用により、行動が発現する、といわれています。そしてその基礎となるのが、4週〜12週の社会化の時期です。良い犬にするためには、2ヶ月近くまでは、親、兄弟といっしょに過ごさせ、残りの1ヶ月で新しい家族に親しんでいくのが理想といえるでしょう。
 社会化期に人や犬と充分に接することができなかった子犬は、とても問題です。将来、仲間や人とうまくやっていくことができなくなってしまいます。
 たとえば、雲伝普現岳の野性化しつつある犬を例にとってみましょう。はじめは家庭犬として飼われていた犬達は、救援にいった人に保護されたり、姿をみせて食料をもらったりできます。でも次に生まれた二世のうち、3ヶ月令までに全く人を見ないで育ってしまった犬は、もう絶対人には慣れません。野犬化してしまうのです。そのため救援の人は、なんとか人の姿だけでも見せておこうと何箇所にも食料をおいてまわったり、大変な苦労をなさっています。
 子犬が、親、兄弟の縁薄く、人間の手だけで育てられた場合、または、あまりにも早く親、兄弟から引き離してしまった場合は、人間になれすぎ、人間を自分の仲間と認識してしまいます。このような子犬は、将来他の犬とあっても、全く興味を示さないか、反対にとても恐れるようになります。繁殖などの目的があれば、むずかしいでしょう。1ヶ月にも満たない子犬を親、兄弟から引き離すのは、とてもいけないことなのです。
 また、親、兄弟と3ヶ月以上も過ごし、その間、繁殖者が愛情を注がず世話もしなかった犬は、まだ子犬でも次の新しい家族になかなかなれず、しつけもむずかしくなります。
 さて、こういった理由により、ほとんどの人は生後2ヶ月頃の子犬を家に迎え入れることになり、社会化期の残りを利用して、子犬が新しい家族の一員としてうまくやっていけるように、しつけがはじまるわけです。
 ただしキャバリアは、正しい世話をした繁殖者、あるいは飼い主の元から、もっと成長してからから新たな飼い主の手に移っても、比較的問題もなく新しい環境に慣れる順応性の高い犬種です。

* 実際に社会化期に何をするか
 子犬に充分時間をとってあげ、世話をよくし、やさしく遊んであげ、観察をしっかりすることです。スキンシップが多いほど、たいへん効果がでます。実際に何をするかは、それぞれの家庭の事情によって、ずいぶんちがいます。”たとえば”の話をこれからいろいろしますので、参考にしてください。

[社会化期に経験したことは、一生の財産]
 その犬にとって将来避けては通れないようなことを、体験させておきましょう。たとえば、自動車に乗せるというようなこと。以外に車ぎらいの犬が多いものです。自動車は犬にとってたいへん苦手な乗物です。でも一般的にはよく慣れます。はじめて自動車に乗せたとき、不安と恐怖を感じているようなら、静かに話しかけ、やさしくなでてさすってあげましょう。すぐに安心して落ち着きを取り戻し、元気になります。一度乗って大丈夫だとわかり、家族にもやさしくしてもらって楽しかったら、次からは喜んで乗るでしょう。
 どうしてもドライブすると吐いてしまう時は、病院で酔い止めの薬を処方してもらえますが、自動車に酔うのは若い犬に多く、成犬になると大丈夫なものです。酔うからといって窓を大きく開けたりするのは、かえってだめです。思いがけない事故や、眼の保護のためにも、風に吹かれてのドライブはやめましょう。キャバリアは小型犬ですから、何かにつけ自動車で連れ出すことが多くなると思います。またキャバリアは家族とでかけるのは大好きです。
 自動車になれたら、決められた場所で運転の邪魔をしないで、おとなしく乗っていられるようにしつけておきましょう。時々、ひざに犬を抱いたまま運転している人をみかけますが、ゾッとするでしょう?
 また、自動車の乗り降りのときに事故につながらないよう、命令を受けてから、行動するようなしつけもしましょう。
 暑い季節に犬を車に残して待たせるようなことは絶対やめましょう。短時間で犬は暑さでぐったりしてしまうでしょう。すぐに死につながります。

 来客の多い家庭では、来客中は犬をどうしておくか決めておき、子犬の社会化の時期に来てもらいましょう。中にはキャバリアのような誰にでも友好的な犬種でも、犬と名のつくものはすべてダメという人もいます。”犬がきらい”という権利の方が日本では優先しているわけですから、トンだところでトラブルに巻き込まれないように、日頃のちょっとしたことでも気を配ったしつけが大切です。来客中は、サークル(ケージ)に入って静かにしていられるように、”ハウス”の命令をかけ、サークルに入れましょう。もちろん、犬好きのお客様であれば、後でサークルから出して遊んでもらいましょう。
 子犬がとても喜んでとびついたりするようでしたら、お客様に頼んで、子犬の高さまで姿勢を低くしてもらい、絶対に人にとびつかせないようにします。”キャー”とか”コラッ”なんていってないで、子犬がとびつく必要のない高さになり、とびつく、という行為をさせないのが一番上手なやりかたです。

 赤ちゃんのいる家庭では、家族みんなが赤ちゃんを大切にかわいがっているのをみせてあげましょう。家族の大切なものは、キャバリアにとっても大切なものとなります。できれば、仲間に入れて、いっしょにやさしく赤ちゃんと接することを教えてあげてください。
 ただ1〜3才頃のいたずら盛りの幼児がお相手なら、よくなれるまで、子犬の方を保護しなければいけないかもしれません。眼のいきとどかないときは、必ずサークルに入れましょう。
 もう少し大きな子供のいる家庭では、子供にも同じように一貫したしつけのしかたを教えてあげましょう。子犬をおもちゃがわりに扱わないよう、命ある同じ家族、弟か妹のように大切にかわいがるようにしましょう。

 先住者がいる場合、他の犬や猫や鳥などのことです。子犬のほうは、特に恐怖を感じたりトラブルがないかぎり、すぐにお友達になれます。できるだけ接触させましょう。猫だって大丈夫です。でも、先住者のほうが新しい仲間を受け入れたくない場合が問題です。無理をしないで、先住者をはっきりと優先的に扱い、”とっても良い子だから、いっしょに新しい仲間をかわいがってあげようね”といってきかせ、気持ちを和らげながら少しずつならしていきます。猫は爪で眼を狙ってきますので、充分なれるまで気を抜けませんが、キャバリアの子犬はどんな動物にもよくなれます。

 家族のみんながそろってある時間家を留守にする家庭では、留守中子犬をどのように過ごさせるか考えて、事故のないようにしましょう。キャバリアは、たいへんな甘えん坊で、さびしがり屋です。ひとりでの留守番は苦手です。家に子犬を迎え入れたばかりの頃は、できるだけ外出時間を短くしてください。
 留守中の対策としては、同時にキャバリアを2匹飼うのがベストです!でもこれが無理なら、留守中は必ずサークルに入れ、落ち着いて安全に過ごせるようにしましょう。そして、ラジオやステレオをかけておいてあげると多少の効果があります。
 どちらにしても何かのとき留守番もできない犬では困ります。でかけるときは、あっさりとサッサとでかけることがコツです。おおげさに、”今からでかけるけど、いい子にしていてね”と別れを惜しみ、子犬を心配するような仕草は禁物です。子犬は、”今から私はたいへんな状況におかれるんだ”と思ってしまいます。帰ってきたときも、”ただいま”と一声かけるだけにし、すぐにサークルにかけよるようなことはしません。たぶん、キャバリアは熱烈大歓迎を演じてくれるかもしれませんが、知らん顔をしてゆっくり服を着かえ、手荷物を整理し、それからサークルへいって遊んであげればいいでしょう。大切なことは、留守番なんて何でもない当り前のこと、と感じさせることです。帰ってすぐにかけより、”さびしかった?おりこうさんだったね、”と抱きしめるのは子犬に”やっぱり留守番ってたいへんな状況なんだ”と思わせるだけです。

 まだまだ、家庭により様々なシーンが思い浮かばれることと思います。子犬の社会化の時期に、やさしくいろんなものに慣れさせておいてあげると、後々いろんなことがおきても、深く、飼い主、家族を信頼し、しつけもスムースにできると思います。

 生後、6カ月〜12ヶ月頃からの時期が、訓練をはじめるには適当な時期といわれています。キャバリアを訓練所に連れていく人は少ないと思います。小型犬の上、性格や行動で問題が少ないため必要のないことですが、キャバリアは優れた訓練性能を持っている、ということを付け加えておきます。
 ”しつけ”は、訓育の分野であり、”訓練”は、それぞれの専門の仕事を教える分野です。でもどちらも線を引いたように分かれるのでなく、しつけの線上に訓練があり、また訓練がどんなに進んでもしつけは毎日しなくてはいけません。
 しつけは、いつ頃からはじめるのがいいのか?ということに対しては、できるだけ早くから、子犬の能力の成長にあわせてすべきだといえます。まだ幼い犬の能力を無視した無理なしつけはマイナスです。すでに繁殖者によってはじめられているでしょう。

  <はじめての散歩>

 生後ワクチンを済ませ、免疫もしっかりついてくる頃から、子犬を外に出すことができます。  キャバリアは、それほど運動量の必要のない犬種ですが、外出が大好きです。事故のない楽しい散歩となりますよう、注意点など話してみましょう。

* リード(引きひも)
 はじめての散歩で、いきなりリードをつけた上、引っ張ったりしてはいけません。ちょっと前から、室内で遊ばせるときに、リードに慣らせておきます。子犬の首にひもをつけて少し走らせて遊んであげます。ひもの端を手で持たないようにして、自由に遊ばせます。でも、遊んでいるうちに、ひもをどこかに引っかけたりして、ショックを与えたりこわがらせたりしないように、そばに着いていて注意しながら見守ります。そして、ひもを全く意識しないでうまく遊べるようにしておきましょう。
 リードをつけての散歩は、生後6ヶ月を過ぎてからが適しています。幼い子犬の骨は、まだまだ弱く発達途中です。6カ月未満の子犬にリードをつけて引っ張るのは厳禁です。骨の形成にも悪影響を及ぼすことがあります。
 自動車などの交通量の少ない道路を選び、犬の行きたい方へついていきます。ジグザグでかまいません。こわがって動けないようでしたら、安心させるように励ましの声をかけましょう。すぐに散歩が大好きになります。
 まだ室内の自由遊びだけで充分運動量は足りている時期ですから、散歩は外の社会に慣れさせるためのものと考えて楽しいものにしてください。充分リードになれて散歩が大好きになってから、徐々にリードでコントロールしながら、人の左横を上手に歩けるようにしていってください。しっかり走らせるような運動は、10カ月以上になってからです。

* リードの選び方
 首輪は、多くのタイプが売り出されていますが、キャバリアの飾り毛を痛めてしまいますから使用しません。
 ハーネス〔胴輪)もオシャレでかわいいものがたくさんありますが、姿勢が悪くなりますし、しつけの上からもよくありません。犬の胴につけるのですから、一箇所に負担がかからず、子犬の体に良いように思えますが、これはまちがっています。どうしても胸で引っ張るため、頭が下がり、子犬の姿勢がどんどんおかしくなってきます。それに首が自由になるため、キョロキョロしたり、道路に落ちているものも簡単に拾えたり、しつけの上でもよくないのです。もしどうしてもハーネスをしたいのなら、成犬になり、しつけもよく入った2〜3才頃からにしてください。
 一般的にリードとよばれているもので、ひもと首輪にあたる部分が一体化したものを選びましょう。散歩のときは必ずリードを使用しますが、家では首輪などはつけないようにしましょう。

* 雨の日の散歩
 子犬はまだ毛量が少なく、小雨でもびっしょり濡れてしまいます。雨がやんだ後でも道路が濡れていると、はね返りでお腹の方がびしょ濡れになってしまいます。こんな日は、無理に散歩にでかけないのが一番です。
 どうしても犬を連れて歩いて出かけなければならないようなときは、レインコートがあるとよいのですが、買うと高いものです。防水性の生地で体にあわせて作ることもできます。被毛が濡れたら、すぐきれいに拭いて乾かしましょう。

* 風の強い日の散歩
 風の強い日も散歩日和ではありません。キャバリアは小型で体高が30cmほどしかありません。風が強く、ほこりの舞い上がるような日は、とても眼に悪いのです。キャバリアの大きな目にはごみが入り炎症をおこすかもしれません。
 春先の強風の日などは、ほこりに混じってウィルスなども運ばれてきますから、こんな日はお天気がよくても無理をして散歩させない方がよいと思います。

* 夏の散歩
 日中は太陽の照り返しで、道路は高温になっています。足の裏をやけどすることもあります。また、直射日光で日射病になることもあります。
 朝の早い時間か、太陽が沈んでしばらく時間のたった遅い時間に散歩させましょう。体高の低いキャバリアは、アスファルトの余熱でも暑すぎてこたえます。地面が冷えて、じゅうぶん涼しくなった時間に散歩させてください。
 またトライカラーやブラック&タンの黒い毛は、長時間直射日光に当て過ぎないほうがよいと思います。色があせて赤っぽくなってしまいます。午前中の日光が適しています。

 春先から霜が降りる頃まで、暖かいシーズン中は草むらにはノミやダニがたくさん棲息しています。草の多いところは避けるとともに、あちこち臭いかぎをさせないようにしましょう。いろんな病原菌をもらうだけです。

* 冬の散歩
 お天気のよい日中の暖かい時間に散歩しましょう。冬になると日差しが弱くなるので、できるだけ日光浴が必要です。特にブレンハイムなどで色素の弱い子は、日光によくあててあげましょう。室内の陽の当りにくいところにばかりいると鼻の色が少し退化して白っぽくなることがあります。全身に太陽の光をうけて、気持ちよい散歩を楽しんでください。子犬の骨の形成に日光浴は欠かせません。

 成犬に近づいてくると骨格もしっかりしてきますから、かなり運動させても大丈夫です。でも大雨が降ろうが、暴風が吹こうが、散歩には連れださないといけないような癖をつけないようにしましょう。ランダムに気持ちのよい日と時間を選んで散歩を楽しんでください。

* 拾い食い
 キャバリアはとても食いしん坊な上、子犬は何でも口に入れたがります。はじめから拾い食いの癖だけは、絶対につけないようにしつけましょう。散歩の途中で食べるものなんて、ろくなものがありません。異物、倍菌、毒物、とがった危険物、とんでもないものばかりです。特に夜の散歩の場合、暗くてよく見えませんから、何か口に入れてもわかりません。懐中電気をもって出かけましょう。
 何か口に入れたときは、声をかけてはいけません。”ダメ”とか”いけない”の声でびっくりして思わず飲み込んでしまう危険があるからです。静かに、すばやく、子犬の口を開き、取り出します。その瞬間に”ダメ!”と鋭く声をかけましょう。

   e-mail cavalier@cavaliernet.com

To Yuki's E-journal