子犬の健康管理

 子犬の時の健康管理には、神経質になってもいいくらい注意をはらいましょう。
 病気に関していえば、もしも悪い病気(ウィルスによる伝染病)にでもかかった時、少し手当が遅れたがために助かる病気でも手遅れになってしまう、こんな悲しい、悔しいことはありません。子犬はあっという間に具合を悪くしてしまいます。様子をみているうちに、事態が急変するすることがあるのです。でも日頃の健康管理がきちっとなされていて処置が早ければ、ほとんどの場合大丈夫です。日頃の観察力とともに、イザという時は、迅速な行動力が必要です。
 また、寄生虫などに犯されやすいのも、圧倒的に子犬の頃です。成犬になると体力もつき、その心配はほとんどなくなります。

 子犬の頃の健康管理は、心身ともに健やかなキャバリアに成長するために大変重要です。できれば何事もなく健やかに成長していって欲しいものですが、もし何かあったとしても、初期にみつけて大事にいたらないように、日頃の充分な管理と観察を実行してください。
 犬を初めて飼われる方は、あなたの犬が幼い頃は何かにつけ獣医さんのお世話になることが多いと思います。子犬の時期は、神経質なくらいの配慮が必要で、少しでも異常があれば必ず獣医さんに相談してください。そうしているうちに初めての飼い主さんも知識がついてきて、病気に対する判断力が培われるでしょう。キチンとした獣医さんであれば、細かいところまでアドヴァイスしてくれるはずです。夜間や休日にも急いで病院へ走らなくてはいけないこともあると思います。是非、信頼できる獣医さんを捜して、ホームドクターになっておいてもらいましょう。

<ワクチンの正しい受け方>

 ワクチンは、犬にとって危険なウィルス性の伝染病を予防する予防接種です。ワクチン接種の方法や考え方がいくつかあります。そして常に獣医学のジャンルで研究され続けています。

 ここでは現時点での最も一般的な接種方法を書きます。
 1回目のワクチンは、生後60日頃です。今は7種混合ワクチンが主流で、これはジステンパー、パルボ、犬伝染性肝炎、レプトスピラ、アデノウィルス1型、2型、パラインフルエンザ、など7種の伝染性のウィルス性疾患への予防注射です。
 生まれたばかりの子犬は、母犬の初乳を飲むことにより、病気に対する免疫をもらいます。この母犬からもらった免疫が切れるのが平均で生後60日頃です。でも個体差があり、とても早く免疫の切れる子犬では、42日を過ぎた頃から切れはじめます。また反対に遅い子では、80日近くまで免疫をもっている子もいます。また母犬の初乳を何らかの理由により飲めなかった子犬は、ほとんど免疫を持っていません。
 ワクチンは、すでに免疫が切れかかっている子犬に有効ですが、しっかり母犬からの免疫を残している子犬には、母犬の免疫は切れるときワクチンの効果もなくなります。だから、最初のワクチンは生後60日に受け、その1カ月後の90日(どの子犬も母犬からの免疫が完全に切れている)に2回目を受けるのが常識となっています。これはワクチンをより確実なものにするためです。
 ほとんどの場合はこれで大丈夫と考えられます。
ですが、さっき述べた理由によりワクチンは100%完璧ではないのですから、もっと万全を期す必要のある場合もあります。
 たとえば、生後50日の子犬を家に迎え入れたと仮定してみましょう。普通、家庭の環境に充分慣れてから、60日頃に病院で7種混合ワクチンをうってもらえばよいのです。ところが、その時まわりでパルボやジステンパーが大流行していたとします。生後50日の子犬は母犬からの免疫が切れかかっているかもしれません。反対にまだ充分残っているかもしれません。子犬が母犬からの免疫を持っているかどうかは獣医さんで簡単に見分けることはできません。血液をとって大学病院などの研究設備の整ったところへ依頼しなければならないわけですから、一般的には役にたちません。パルボやジステンパーなどの空気感染による伝染病が大流行しているエリアでは、生後42日を過ぎている子犬は母犬からの免疫が切れていることを想定して対処しなければいけない場合もあります。そしてとりあえずワクチンをうったからと安心してしまわないで、ワクチンが確実なものとなるように次の接種時期を獣医師に尋ねましょう。
 ワクチンは、犬の生命にかかわる代表的なウィルス性(伝染性)疾患の予防注射であり、100%ではないとしてもほぼこれで予防できます。

<追加接種の時期>

 子犬の時期のワクチネーションが完了すれば、後は1年に1回追加接種を受けます。
 でもウィルスというのは、人間のインフルエンザウィルルスが香港型とかソ連型、A型とかB型とその年によりいろいろ変化するように、型が変化することがあります。パルボなどはとても変化しやすいウィルスであり、ジステンパーや犬伝染性肝炎などは変化しにくいウィルスなどといわれてますが、いずれにしても型は変ると思っていた方がまちがいはありません。ジステンパーなどはしばらく前までは、1回免疫がつくと永久的なものだという学説(永性免疫)もありました。ところが今ではそうでないことが明らかになっています。
 また、ワクチンが切れてしまっていては当然のこと、切れかかった時にウィルス性の病気にかかったのでは、命がけとなります。
特に子犬は、24時間〜48時間以内に悲惨な事態となることもあります。
 キャバリアは丈夫な犬種です。また、パルボやジステンパーなど特定の病気に関して、特に感受性が高いといった報告もありません。ですが、小型愛玩犬で基礎体力があまりないため、何の免疫もなくこれらの病気にかかれば、とてもむずかしいと思います。
ワクチンをしっかりうっていると、万が一、運悪く伝染病にかかったとしても、ワクチンでその病気に対する抗体をつくり、少しでも軽くすることができるのです。

<体内寄生虫、ノミ、ダニ>

 寄生虫はお腹の中にいて、その種類もたくさんあります。
 子犬はまだ弱いので寄生虫の住処にピッタリです。子犬のお腹の中で繁殖すると下痢をしたり、吐くこともあります。
 正しい手当をすれば命にかかわるようなことはありません。定期的に病院でみてもらいましょう。便を少量とって、ラップなどに包み、病院へ持って行くと簡単に検便をしてもらえます。
1回目のワクチンのときに、必ず寄生虫の検査も受けましょう。大切な成長期ですから、以後半年に1度は必ず検査を受け、成長に支障をきたさないようにしましょう。

 ノミやダニは、犬の体の外に寄生し、その種類も多く、完全にやっつけるのは大変です。
 犬ばかりでなく、まわりの環境を清潔に保つことも大切です。子犬の寝床用のタオルなどは、毎日洗うくらいにして、ケージの中もいつも拭いてあげましょう。
 ノミとり首輪やノミとりシャンプー、ノミとり粉などが市販されていますが、かなりの劇薬にはちがいなく、不用意に使用することはおすすめできません。ノミとり首輪にしても幼犬用、成犬用があり、子犬には幼犬用でなくてはいけませんが、子犬が体調の悪いとき、家庭に赤ちゃんや子供がいる場合、危険性を考えなくてはいけません。これらのものを使用するのであれば、まず獣医さんに相談しましょう。
 暖かい季節など、散歩から帰った時に、ブラッシングの習慣をつけておくのもよいと思います。草地には、必ずノミやダニが棲息していますから。
 特にダニは様々な病原菌の運び屋でもある点でやっかいです。
散歩の時にやたら草の中に鼻をつっこませないように、日頃のちょっとしたしつけで随分防げます。そして子犬とそのまわりを清潔にし、子犬のしつけも兼ねて行儀のよい散歩やブラッシング、シャンプー、体の点検などを心がけましょう。これらの不快虫はガーリックの臭いが大嫌いなので、毎日の食事に少量のガーリックを混ぜることで予防になります。

<フィラリア>

 これは、蚊が媒介する寄生虫です。
 蚊のいる地方で何の予防もしないで、一夏を過ごした犬のフィラリア罹患率は、約3割というデータがあります。三夏では、実に9割の犬がフィラリアにかかってしまうそうです。
 昔は予防薬がなかったので、犬小屋に網戸を取り付けるとか、蚊取線香をたいてあげるくらいしか予防の方法がありませんでした。フィラリアは成虫になると主に心臓に寄生し、犬を短命にさせるおそろしい寄生虫でした。
 でも今はよい予防薬が開発され、何種類もでています。そして副作用もありません。この予防薬によりフィラリアで命を落とすことはなくなったのです。フィラリアは、正しく予防薬を投与することにより、確実に防げる病気ですから、必ず予防しましょう。
 はじめてのワクチンで病院へ行ったとき、寄生虫の検査とあわせ、必ず獣医さんにきいておきましょう。
 地方によって蚊の発生状況が異なりますので、予防を始める時期については一概にいえませんが、一般的には5月〜11月末までの期間中、予防薬を投与します。最近では北海道でもフィラリアの報告があり、また関東以西では冬でも蚊がいるとききます。暖房設備がよく整ってきたためでしょうか。予防薬を飲ませはじめる時期が遅れないように、獣医さんにいつから飲ませるのかをきいておきましょう。次の年からは、予防薬を飲ませはじめる前に血液検査が必要です。

<狂犬病の予防注射>

 狂犬病の予防注射は、国から義務づけられています。
 現在、日本では狂犬病の発生はありませんが、海外では、今だ発生の報告があります。近年、イギリスでもありましたし、アメリカでもスカンクが報告されています。狂犬病は犬ばかりでなく、人間を含め、いろんな動物に伝染するおそろしい病気です。海外からの侵入や野性動物からの伝染にそなえ、必ず予防注射の義務を果たしましょう。
 毎年4月頃に市町村が公示します。生後9ヶ月以上(自治体により多少の相違がある)の犬に義務づけられています。

 あなたの子犬が同じような時期に混合ワクチンと狂犬病の予防注射が重なった場合、同時に受けてしまってはいけません。少なくとも2週間以上、できれば1ヶ月は時期をずらしてください。
狂犬病の予防注射は獣医さんのところでも受けられます。少し料金が割高になるかもしれませんが、登録用紙と鑑札も渡してくれます。登録は市町村の窓口へ出向いて済ませましょう。
 予防注射の受け方は、人間の場合と同じです。体調のよいときに受けさせ、その日は安静にし、1週間はシャンプーもやめます。接種後すぐに吐いたり、震えがきたり、発疹がでるなど異常があれば、至急に獣医師に連絡をとりましょう。

<病院へいくとき>

 まだ体力のついていない子犬にとって、伝染病はもちろんのこと、寄生虫、けが、事故、何から何まで要注意です。

 ここでは、”病院へ行くべきだ”と思う判断の目安を書いておきます。

 1にウンチ、2に食欲、毎日一番観察しやすい健康のバロメーターです。そして、これが最も重要です。
 特に”ウンチ”については、毎回排便のたびに確かめてください。
子犬はちょっとしたことでも下痢をする場合があります。でも大変な病気の前兆である場合もあります。また、寄生虫がいる場合、環境の変化、ストレス、などいろいろ考えられます。様子をみている時間もなく至急に(夜間でも)病院へかけつけた方がよい場合もあります。

 1にウンチ、2に食欲の監視網にひっかかったときは、次のことをチェックしましょう。

・熱を計るーー子犬の平熱は39度、1歳を過ぎたら38,3度
・吐く(回数と吐いた内容物の様子)
・眼の充血
・歯ぐきの色ーー普段はピンク色
・元気ーー病気以外に脊椎や頚骨や関節などを痛めている場合も
・尿の色

 そして次のようなときには病院に行くか、連絡を。

・高い熱があれば至急病院へ(子犬では39.5度以上、成犬では39度以上、熱があると食欲をなくします)。
・繰り返し何度も吐けば、やはり病院へ。
・熱もなく吐かない場合でも、その他の症状が重なれば病院へ。
・特に気になる症状が他にないときは、しばらく様子をみるか、病院へ問い合わせてみましょう。

 犬の元気はよくわかりません。特にキャバリアはあまり態度に出さない子が多く、見落としてしまいがちです。日頃より何となくおりこうさんにしているとき、あるいは、シッポが下がり気味でおとなしいときなどをいいます。歯ぐきの色は普通きれいなピンク色をしています。白っぽくみえたり、紫色がかってみえたりするときは、脱水症状をおこしているか、貧血をおこしている場合があります。
 何か異常があるかどうか正しく判断するために、普段の健康なときの子犬の状態を知っておくことが必要です。平熱、便の色と臭い、尿の色、眼の色、歯ぐきの色、何でもよく知っておきましょう。そして、診察のときに獣医さんにできるだけ詳しく正確なデータを伝えるようにしましょう。

 キャバリア一般について、特有の病気というのはないと思います。垂れ耳の犬種としては、耳のトラブルも少ないほうです。また、ある種の病気に対して罹ると弱いという報告もきいていません。ただ、アレルギーのでる子が少し多いように(いろんな犬種で増えていることも事実ですが)思えます。日頃のスキンシップと観察が何より早期の病気発見につながります。

 皆様のご愛犬が健やかに成長されますことを心より願ってやみません。

   e-mail cavalier@cavaliernet.com

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