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選択技術を向上させる(AKCガゼッタ98年2月号より) By Patricia V.Trotter ● 繁殖犬の選択のための基準としての、血統、体型、実績(性能)の取り入れかた
長期間に渡る犬種の改良に必要な選択技術を向上させるために、ブリーダーは以下の3つの基準を心に留めましょう。即ち、血統(pedigree)、構成(conformation)、そして実績・性能(performance)です。
理論的には、血統によって体型が予測でき、体型によって性能が予測できるはずです。しかしながら、生き物には絶対ということはほとんどあり得ません。
あなたの選択が、一流の系統の犬から行われているなら、その血統の選択は最良の結果を生みます。レベルの低い血統から名犬が出ることもあるのですが、その犬種の基礎となっているような血統によってよく考えて作出された犬のからの方が確率はずっと高いです。優秀な体型とタイプに加えて、良い性格、健康であること、そして健全であることなど、すべてを考慮しなくてはなりません。さらに、次世代に望ましい特徴を伝える可能性を増やすために、血統の選択では、3〜4世代内が似通ったタイプに揃っている犬たちを選択することが必要です。
● 血統と体型あなたの選択基準の基本を血統に置くとするなら、特に3世代から5世代内のインブリーディング、ラインブリーディング、そしてアウトクロスの程度について、考慮しなくてはなりません。
ラインブリーディングから良い結果を得るには、血統の両サイドから同じラインを受継いでいることです。インブリーディングが最良の結果を出すのは、将来のために選択した犬(=選択の基礎となる犬)を、1〜2世代離して置いたとき(訳注:1×2、2×3のような)のようです。以前のコラムで私は、ラインブリードを強化するために血統書の一番上に来る牡達(テール牡)を強化し、血統書の一番下に来る牝達(テール牝)を強化する配置について議論しました。このような血統配置により、X染色体とY染色体に関連した、捕らえどころがないけれども望ましい情報が次世代に伝わることを可能にするのです。アウトクロスが最良の結果をもたらすのは、2つの強力なライン、とりわけその二つのラインが似たようなタイプを持つ時、それを混ぜ合わせて「雑種強勢」が起こったときです。
完璧な体型を持った犬は存在しません。しかしながら、重要度の低い点のみにおいて完璧から外れている犬を選択するために、注意深く考慮することが必要です。重要度の低い体型の欠陥とは、犬の運動能力に影響を及ぼしたり、早期の老化を引き起こしたりしないもので、不自然な動きの原因となったり、若いうちから不健全であったり、正常かつ活動的に作業をこなすことを妨げたりするような深刻な欠陥ではないものです。
特別の一胎をブリーディングするために、一頭の種牡を選択するために候補犬を比較してみる際、ブリーダーは、平凡な血統だが体型がすばらしい犬と、すばらしい血統だけど体型は劣った犬と、どちらを選ぼうか?と悩むかもしれません。これらはそれぞれのブリーダーの将来の成功を左右するとっても難しい質問です。例えば、強い腰と背とそれに伴った力強い下半身を持っているゆえに、もっと首の長さが欲しいとわかっていても、機能的な作業犬種のブリーダーならその犬を選ぶかもしれません。
その時点における妥協とトレードオフ(前号参照)は、将来のブリーディングストックに長期間影響を及ぼします。特定の形質、−例えば、正しいフロントの構成など−は、一旦遺伝子プールから失わせてしまうと、取り戻すのは非常に困難です。それゆえに、成功しているブリーダーは、角度の良い肩と、それに対応した正しい角度の上腕を、繁殖犬の選択の際に重視しているのです。
血統は、特定の動物の遺伝的な可能性の指標とはなりますが、その遺伝の仕方をはっきりと予想することはできませんし、何頭かの異なった犬と交配しても同じような遺伝の仕方をするかどうかはわかりませんし、同胎犬が皆同じような遺伝様式を持っているのかもわかりません。同胎の中での兄弟(姉妹)犬の個体差を見ればそのことは明白です。それぞれの犬が次世代に伝える素質や特徴をいろいろと持っています。それゆえに、成功しているブリーダーはブリーディングプログラムに組み入れる犬達の血統の研究にとても長い時間をかけるのです。血統の研究を机上で行って、弱点を改善し、必要な特質が優れている犬を導入するよう努力します。血統の選択を賢く行うには、どの犬がどういう特質を伝えているかという知識を持って血統の研究を行わなくてはいけません。このようにブリーディング計画を立てれば、将来の血統を強化する事ができるようになりますから、このような選択手順はブリードスタンダードに沿った犬を生み出すことになるでしょう。
● 実績(性能)実績(性能)という選択基準は、二つのカテゴリーに分かれ、それは客観的(objective:ショーや競技会での成績等)なものと主観的(subjective:美しさ、賢さ等個々の人が判断するもの)なものです。サラブレッドのブリーダーは、繁殖に用いる馬の質を判断するために、ケンタッキーダービーのようなクラッシックレースを比較的客観的で一貫した基準として取り入れることができます。そのレースは、常に同じ競馬場で、5月初旬に2000メートルの距離で行われます。
このレースのウイナーが後に種牡馬にならないこともたまにありますが、ダービーの優勝馬は通常は将来のウイナーの先祖として血統書上にしっかりと名を残します。純血犬のブリーダーが、実績をどのくらい選択のために取り入れるといいのかを決める際には、それはもっと主観的で一貫していないものと言えます。
ショーの成績とは、多くの審査員による集合的な意見に基づく実績の記録と言えます。審査員達は、ショーマンシップ、健全さ、そして個人的な好みやその他諸々の、その犬の遺伝的能力とはほとんど関係ない多くの因子に魅力を感じてしまうかもしれません。特定の犬種である年には競争が激しくなくて、普通のぱっとしない犬が傑出した成績を達成してしまう、ということもあります。本当に競争の激しい年のランキング3位の犬のほうが、競争の激しくなかった年のランキング1位の犬より、ブリーディングにおいてはずっと優れているかもしれません。
さらに、良いブリーディングで作られた素晴らしい犬が、単に機会がなかったために素晴らしいショーレコードを残していないこともある、ということも知っておいてください。偉大な犬がショーに出されず、それゆえ素晴らしい成績も残していない理由はたくさんあるものです。その犬あるいはその犬の遺伝子プールをブリーディングに用いているのであって、ショーの成績をブリーディングしているのではないということを忘れないでください。
客観的な能力試験(フィールド試験・競技など)は、また別のものです。客観的な能力試験を用いた賢いブリーダー、ボブ・ウェーリとその犬舎エリューのポインターは一つの伝説になっています。50年間に渡り、彼のブリーディング技術によって一群のポインターのチャンピオン達が生み出されてきました。
体型・血統の評価に能力試験を合わせた、厳格な選択手順を固持することにより、この偉大なブリーダーは、他を寄せ付けないほどの優れたポインターのラインを確立しました。この犬たちは、アメリカ合衆国全域で、親・息子・孫の3世代に渡って個人の鳥猟犬として活躍しました。ウェーリが手にしたナショナルフィールドトライアルチャンピオンのタイトルは膨大なものです。その犬たちの、家族への忠実さとその丈夫さは今も語り継がれています。
このようなサクセスストーリーは、フォックスハウンドの世界でも見られます。フォックスハウンドの名ブリーダー達は、一貫して性能、体型、そして行動(猟における)の優れた犬を選択しています。集団の平均から外れる犬は望ましくありません。(フォックスハウンドは一つの集団として猟に使われるので)たとえば、(走るのが)早すぎたり、遅すぎる犬はブリーディング対象から外されます。集団で用いるということは、犬を置き換えたり、交換したりすることがかなり求められます。ですから、似たような体型、血統、そして性能を持った犬達を選択することによって、その集団の質が一定になるのです。
あなたのブリーディングにおける決定を左右する点で最も重要な実績は、その犬やその一族の繁殖実績です。もし、考慮している犬がドッグショーやフィールドトライアルで素晴らしい実績を示して、繁殖実績でも素晴らしいとすれば、その犬はすべての中で最も大事なテスト、即ち時間によるテスト(子孫にも良いものを伝えているか)をクリアーした貴重な犬ということです。
このような犬は、後の世代に偉大さを伝えていく基礎犬となります。このような犬を使い、体型、血統、性能を評価して選択手順を一貫させているブリーダーは、やがては最高の結果を得ることになるでしょう。
AKCガゼット98年2月 パトリシア トロッターは、ノルウェイジアン・エルクハウンドの永年のブリーダーで、30犬種以上の認定審査員です。また、ジュニア・ショーマンシップの審査員です。テネシー州Antiochに住み、「Born to win」の著者です。
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