"Let's Reach an Understanding
about Corrections"

(Correctionsについて理解しましょう。)

ゴールデンレトリバーニュース(July/August1996)
“Around The Obedience Ring" より。
by Connie Cleveland


何年も前ですが、私が初めてしつけ教室に参加したときのことです。私は愛犬のマルチーズと脚側行進をしてリンクを歩いていて、「犬が指示に従っていない(例えば勝手に前へ出たり、遅れてついてきたり、座れと言った時に座らなかったり、座ってはいけない時に座ったり、くんくん匂いをかいだり)時はいつでも矯正しなくてはいけません。」と教えられました。

その矯正とは単に、犬に向いて欲しい方向にリードをチョークすることでした。今思い出すと悪夢のようです。彼にしてみればどんな世界だったのでしょう?彼は動く度に毎回チョークを受け、そしてそれから誉められるのです。“矯正し、そして誉める”がその教室のモットーでした。何のために誉めるのでしょう?ひょっとしたら彼にしてみれば“僕はお母さんに首輪を引かせてあげたので誉められている”と考えることが一番理解しやすかったかもしれないのです。

有り難いことに犬の訓練は私にとってより洗練されたものになってきました。もう手当たり次第にチョークするのではないのです。(そして私がしてほしいことをしてくれた時だけ誉めるのです。)リードをチョークすることは私の犬にとっては特別の意味を持っています。すなわちそれは“私を見なさい”という意味なのです。犬が私に注意を払っていない時に、リードを軽くチョークして私を見るよう促すのです。

私は犬にこのチョークの意味を理解してほしいと思っています。リードのチョーク、耳をつまむこと、チェーンカラー、電気ショックカラーなどどんな方法でも、犬がその矯正の意味を理解するには、犬はその矯正がどんなもので、どう反応すればよいかを教えられなければいけないのです。矯正とはトレーナーによる行き当たりばったりの乱暴な行為ではありません。そんなことをすれば、犬から反発されるでしょう。

一部のトレーナーの間では、犬を決して叱らず、正しい誘導(motivation)と犬の意欲によって犬を従わせるという方法を討論するのが最近流行っているようです。どうぞ誤解しないでください。私は誘導法を使いますし、できるだけ犬の興味を引こうとします。しかしその方法で常にうまくいくというのは理想論に過ぎないと思うのです。犬は私がやらせようとしている事は楽しみであると同時にそれは彼らがやるべき仕事でもあると理解しなくてはいけないと思います。

犬達はたとえ隣のリンクでテリアがじゃれていても、おもちゃがピーピー鳴っていても、私に注意を払わなくてはいけないのです。カモの匂いが鼻に充満していても、命令があったら座らなくてはいけないのです。実際には、私は常時犬にとって犬の興味を引きつけておくことはできません。しかし私は彼らのリーダーなのです。妥協してはいけないことがいくつかあるのです。

犬に矯正に対してどのように応えるかを教えるということは系統立ったプロセスです。これをマスターしたなら、犬はこの喜ばしくない刺激に関して以下の2つの事を理解するでしょう。

1)どうしたらそれ(矯正のための刺激)を止めさせることができるのか(どうすれば止むのか)?
2)どうしたらそれを避ける(矯正されない)ことができるのか?

この2つの事を犬が理解すれば、いじけたり、すねたりせず、精神的ダメージを受けることはないでしょう。
この事をわかりやすく説明するために、犬を逃走防止システム(地面にワイアーが埋め込まれていて、囲まれた範囲から出ようとすると、音が出たり電気ショックが与えられる装置:フェンスを設置しなくても犬を庭に囲っておけるということでアメリカで人気)をセットした庭に放す事を例として考えましょう。

この装置による矯正について正しく教えられれば、その犬は次の二つの事を理解します。1)どうすればそのショック(音とか電気ショック)を止めれるか→庭に戻ればいい。2)どうすればそのショックを避けれるか→庭から出ようとしなければいい。

私は今まで、この装置を安易に使ってみて、トラブルが生じた人達からたくさんの相談の電話をもらいました。最も多い間違いは何も知らない犬をいきなりその庭に放し、走り回らせ、犬がショックに出会うことです。こういう場合、犬はショックを与えられると、次の瞬間には庭から飛びだし、飼い主はびっくりするのです。つまり役に立つどころか大きな問題が生じるだけなのです。

その犬はその矯正に対する間違った応え方(素早く走り過ぎれば、ショックは一瞬ですむんだ。)を見つけたのです。その次に多いトラブルはトレーニングをしようとした時、うまく歩かないことです。よく見るのが、前もってリードに慣らせれていないパピーをリードをつけてこのシステムのショックを教えてしまうことです。そうすると、そのパピーはリードをつけると地面に伏せてしまって歩こうとしないのです。

このシステムの矯正(ショック)は“ここから出てはいけないよ”という意味なのですが(これは飼い主ははっきり理解しています。)それがパピーにとっては“リードをつけられたら歩いてはいけない”という意味になってしまったのです。(パピーも飼い主と同じくらいこの意味をはっきり理解したのです。)パピーはこの見えないフェンスのショックを教えられる前にリードをつけて歩くトレーニングが必要なのです。

リードのトレーニングが入った犬を、境界線に目に見える物(ロープとか旗)を設置して、このシステムをつけた庭に放せば、どのようにこの矯正(この場合は電気ショック)に応えればよいのかを教えることができます。はっきりと、そしてやさしくリードを引いて、境界の内部に戻してやればいいのです。そうすれば、その犬は簡単にそしてすぐに必要な2つの事を理解するでしょう。すなわち1)どうすればその矯正を止めれるか(内側へ戻ればいいんだ。)2)どうすればその矯正を避けることができるか(境界線の内側に留まっていればいいんだ。)ということです。

飼い主がこの矯正を制御し(このシステムをなすがままにしておかない)、そしてこれが大切なのですが、犬のこの矯正に対する応答を制御する(犬をなすがままにしておかない)なら、初めてこのシステムをうまく教えることができるのです。このことはほかのどんな矯正(道具によってあたえられるものでも、人が与えるものでも)にもあてはまるのです。

さて、これをリードをチョーク(犬にとって喜ばしくない刺激)して、“こちらに注意を払いなさい”(この矯正に対する望ましい応答)を教えることに当てはめてみましょう。この“注意を払う”(アイコンタクト)はすべてのトレーニングにおいて大切です。だれも、こっちに注意を向けていない子供に何かを教えようとは思わないでしょう?犬も同じだということです。

「座れ」の命令を理解している犬で始めましょう。犬の正面に立ってください。(注意を払うことを教えるには、脚側の位置より正面に座らせるほうがより簡単です。脚側の位置で行なうのは何日か後にします。)リードはあごの下の位置に持ってきます。カラー(首輪)はどんなタイプのものでもかまいません。

私のレッスンの初心者の生徒は皆バックルタイプの首輪を使いますが、チョークチェーンやピンチカラーを使う時もあります。犬や性格にあわせて選んでください。バイト(ジャーキーなど)を使って、犬がこちらを向くよう誘惑します。人にとっても犬にとっても注意を払うことは無理な姿勢ではないことを理解してください。(この時点で大型犬はアイコンタクトが取れます。)

犬があなたを見たなら、話しかけ、声を出して誉めます。(手で誉めるのではありません。手にはリードを持っているのですから動かしてはいけません。)注意してください!見るのを止めたなら、話しかけるのも止めてください。リードを顎の下にして犬の正面に立つ あなたを見ている時だけ“いい子”なんです。

さて、いいですか?次に犬が見るのを止めたら、リードを上にちょんとチョークします。どれくらいの強さですかって?犬が何らかの反応を示すくらいの強さです。さあ、ここが一番難しいポイントです。あなたは犬の反応をコントロールしなくてはいけないのです。犬がするかもしれ ない反応とはどんなものがあるでしょう?

結局のところ、目的は矯正に対しての2つの大切な事を犬にはっきりと理解させることにあるのです。

1)犬はどうすればその矯正を止めさせることができるのかを学び取り、その結果、チョークされればためらいなく、あなたを見る。

2)犬はどうすればその矯正を避けることができるかを学び取り、その結果だんだんと犬はあなたから目を離さなくなり、最終的には離れていてもあなたから目を離さなくなる。

それでは次に、犬の位置を変えてみましょう。犬に対して90°の角度に立ちます。(ちょうど脚側停座の位置から外へおしりを振って、間違った座りかたをしたときのようなポジションです。)そして次の段階として脚側停座の位置で行ないます。

次に、犬を立たせ、お友達に犬が座らないように手で支えていてもらうか、リ−ドをお腹の下にくぐらせて持っていてもらいます。犬があなたから目を離して、あなたがチョ−クした時、犬はあなたを見る前に座ろうとしますか?この混乱を解いてあげましょう。チョークが意味するものは「注意を払いなさい」なのです。

そして最終的にはこの矯正は脚側行進している時に使いたいのです。チョークするたびに犬が座ろうとするのでは困ります。ですからこれを犬に教えてあげましょう。犬を立たせたままにし、犬があなたから目を離した時にチョークします。もしその時犬が座ろうとしたら、やさしくしかしはっきりと犬を手で支えて座らせないようにします。そして、頭を手で上げさせるか、指でつついてあなたを見させます。こうして、座る必要はないこと、ただ飼い主を見ればよいだけなんだということを教えます。

さあ、これで犬に頭を上げさせて歩かせる準備が出来ました。ゆっくり歩きはじめましょう。まだ、脚側行進をやっているのではありません。時々頭を上げて注意を払いながら歩くことを教えてあげるくらいでいいのです。(脚側行進を教えることについては後の機会に書きます。)

矯正とは、恐れを抱かせたり、強制服従させたりするためのものであってはありません。正しい応答を教えるためのものなのです。段階的なプロセスを踏めば、いろんな種類の矯正を教えることができます。それでも、オベディエンス競技会のための目的なら、私の経験からすればほとんどの犬はたった二つの矯正だけを理解すればいいのです。一つは「注意を払いなさい」もう一つは「拾いあげなさい。」(持来の際の矯正)です。

いかがでしたか?犬は「どうすればその矯正を止めさせられるか。」と「どうすれば避けれるか」を学ぶことによって、矯正を理解することができるということをご理解いただけましたか?次回はもう一つの必要な矯正、すなわち持来の際の矯正についてお話しましょう。

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