ゴールデンレトリバーニュース(May/June 1995)
"Around The Obedience Ring"より。
"Prerequisites To Competitive Obedience"
(オベディエンス競技を始める前にするべきこと)
By Connie Cleveland
最近、私が開いたあるセミナーでのことです。ある飼い主に、ダンベルを投げる時に犬がステイできないのでアドバイスしてほしいと頼まれました。その飼い主は前に出てきて彼女の犬の問題行動を見せてくれましたが、確かに、予想した通りその犬はステイの命令を無視して、夢中になってまだ動いているダンベルを追いかけていました。
私はその人にリードをグイっと引いて、犬を軽くおさえなさいと指示しました。これを何回か行なえば、彼は紳士のごとく座っているようになるだろうと思いました。ところがそうではなく、その犬はリードの端に飛びつき、上や下へと叩き付け、ぐるぐる回り、飼い主の所にうなりながら戻るのです。それは「その手には乗らないよ!」という感じではなく、「俺のことを邪魔するなよ!」と言ってうなっているのです。
私達はたちの悪い問題を解決しようとしている、という事は明らかでした。この犬の反応と行動を見ますと、ステイしないことが問題なのではなく、だれが権威者であるかということが問題なのは明らかです。それでその飼い主にいくつかの質問をしました。
「この犬をノーリードにして、呼んだら戻ってきますか?」「たいていは戻って来ますが、でもクンクンと匂いをかぐのに夢中の時や他の犬に気を取られている時は無理です。」<
「あなたが食事をひざの上やテーブルに置いたり、手に食べ物を持っている時に、あなたの犬は決して食べ物を取りませんか?」「それは全然だめです。彼は食べ物を取ってしまうわ」
悲しいかなこれは(大事なことより)先に「オビディエンス」をやっているということを示しています。犬にAKCの規定の平地での「持来」を教えることが、離したら戻って来ない犬や一人で家に安心して置いておけない犬の飼い主を指導することよりも重要であるということになってしまっているのです。
どこで「オベイディエンス」を教えるのでしょう?オビディエンスクラスのインストラクターとして、またはオベディエンスクラブのメンバーとして、たいていは「ヒール」(脚側行進)、「来い」、「8の字行進」を教えることをオベディエンスの初歩としています。これがオビディエンスの初歩なんんでしょうか?私はそう思いません。私はオビディエンスの第一歩は、家庭での序列を確立し、犬と楽しく暮らすために必要なマナーを教えることだと思います。私でしたら、それらのマナーにはリードをつけて歩くこと(左側に付いてるかなんて誰も気にしません!)呼んだら来ること、ゴミをあさらないこと、テーブルの上のものを取らないこと、などを含めます。
私がパピーや新しく来た犬に私が教える最初のゲームに「これ、誰のクッキー?」というのがあります。食べ物を手の中に入れ、体の横に付けます。(ポップコーンの入ったボールを膝の上に置くのも良い方法です。)許可なくして犬が食べ物を取ろうとしたら、うなるような声で叱ります。テレビのドキュメンタリー番組で、狼が仕留めた獲物を食べている所を想像してください。そして劣位の狼が近づいて来た時にどのように反応するか想像してください。
優位の狼は食べ物を自分のほうに引き寄せたりしないで、近寄ってきた劣位の狼に飛びかかります。できるだけこの狼の真似をしてみましょう。手に食べ物を握って、大きな声で「コラ、コラ、どうするつもり?」と言いながら犬に近づきます。大抵の場合犬は「すいません、ボス。あなたはいつでもくれるものだと思ってたから。」というかのように躊躇なく後ろに飛びのきます。そこで私はクッキーを小さく割り、犬に差し出し、優しく「お食べ」の命令を出します。この訓練を要約しますと次のように言えます。「この食べ物は私のものよ。時にはあなたに分けてあげるかもしれない。でも私とあなたの間には取り決めがあるの。ねだってはいけないのよ。」
私はこれは簡単にできる訓練だと思います。というのは多くの犬は産箱の中で、母犬や兄弟犬と似たような経験をしているからです。我が家ではこの訓練によって、たとえよちよち歩きの子供でも、食べ物を持っている人には誰にでもこのような態度を取ることにさせています。
リードをつけたマナーの入っていない犬は、東へ行きたいときは、馬車馬のように自分の主人を引っ張ってひたすら東に行かなくてはいけないと思っています。私はこんな犬には引っ張っても無駄だということを諭します。「もしあなたが東に行くなら、私はすかさずリードをぐいっと引いて、首輪をあなたの首に食い込ませてあげるから。
そしたらあなたは目的地には行けないのよ。わかった?ベイビー。どうする?そんな目に会っても東へ行きたいの?」犬は2、3回試みた後、東へは行かない決心をします。東へは行く気がなくなりますが今度は西へ行こうとします。そうして行ってみるとただ同じ目に会うだけだというのが分かるのです。私は怒ったり、罵声を浴びせたりはしません。「もし引っ張ったら、チョークするわ。私はカッとしたりあなたを馬鹿だと思ったりはしない。
でも私とあなたの間には取り決めがあるの。引っ張ってはいけないのよ。その代わり、あなたが私を見ているなら、私もあなたにしっかり注目していてあげる。不安になってないか、欲求不満になってないか、興奮していないかを見ててあげるわ。とにかく私に注意を払っていれば損はしないわ。」と、これは「当然の成り行き」なのです。
私は犬は状況に依存する動物だと思います。もし私がこの訓練を今日前庭で行なって、明日は裏庭で行なえば、彼は再び、同じかそれ以上に引っ張るでしょう。そして同じことを教えなくてはいけないでしょう。何回か違う場所でやってから、彼はようやく結論を得るのです。「どこであろうとボクが引っ張れば同じ結果が帰ってくる。だから引っ張るのはやめよう。」
この時点でこの訓練に動きを取り入れます。私が歩き、そして犬に「行こう」の命令を出します。私は犬が私の左を歩こうが、右を歩こうが、前を歩こうが、後ろからついて来ようが、位置は気にしません。しかし犬はリードがピンと張ることがないよう注意しなくてはいけません。
多くのオベディエンスクラスでは犬にステイを教えて、そして飼い主はステイの位置から犬を呼び戻します。これはあまりに単純すぎます。たいていの犬はじっとしてるより動いていることのほうが多いのです。「来い」という命令は物を追いかけたり、気が散ってたりして、走り去ろうとする犬を止めるためにのみ有効な命令です。
私は初心者のクラスで、4週間から6週間かけて、長い紐をつけたこの「来い」の練習をやらせます。最初に飼い主はこの紐の端を持ちます。すぐに犬は紐を引き摺って離れていくでしょう。そこで一言「来い」の命令を出してから紐を引き寄せると、飼い主は犬を捕まえることができるし、犬は命令に従ったことになるのです。
戻って来ない犬よりももっと悪いものがあります。それは逃げて行ってしまう犬です。いざという時に捕まえられないということは、結局あらゆる苦難に遭遇してしまうということです。障害物の回りを走ったり、ステイの途中で走りだしたりしたとき、どうやって捕まえますか?私は口になにかをくわえるとこのようになってしまうレトリバーを良く見ます。
呼んだら確実に戻るという保障がない犬にはためらわずに長い紐を付けてください。この馬鹿げた鬼ごっこをしようとした犬はあなたに捕まえられてびっくりするでしょう。犬は紐を付けられてるのは知っているかもしれませんが、どれだけ長くて、一方の端がどこにあるかは知らないのです。犬を捕まえた時、怒らないことが大事です。
至極当然という顔をしていることです。あなたは犬に「来い」といい、犬が来なかったら捕まえる。それだけのことです。感情が入り込む余地はありません。取り決めがあるだけです。「あなたは私が命令したことを命令された時にするのよ」という取り決めです。
私はトレーニングの入っていない犬はためらうことなく家の中でも紐をつけてそれを引き摺らせておかせます。クレートに入れるとき、または出すとき、私から逃げることを許さないのです。それよりも首輪に短い紐をつけておいて、捕まえられるようにしておくのです。
つい先頃、私の犬ではありませんが、若いレトリバーに基本的な服従訓練をさせていました。4日目頃でしょうか、車に積んだクレートにこの犬を入れることは戦いのようであるとわかりました。この犬はクレートに戻る時間になると、車の下に潜り込んだり、車の回りを走り回ったりするのです。
「ハウス」がその日のレッスンとなりました。私は単に紐を付けて、車(バン)に飛び乗ったり飛び降りたりすることを教えただけです。私は彼がハウスに入った後、ご褒美をあげたり、素敵な敷物をあげたりしました。しかし私は車に乗せるのにつりえさは使いませんでした。彼には紐が付けられていて、ハウスを命じてもしないようなら紐を引っ張って入れるだけです。また言いますが、ここには感情はありません。ハウスに入ることが私の要求であり、彼はそれをやるだけだということです。
あなたの犬はテーブルの上のものを盗みませんか?食べ物の上に透明な粘着紙をかけてください。そして部屋を出てください。そして「自然のなりゆき」は犬に良いレッスンをしてくれます。「テーブルの上に上がってごらん。にちゃにちゃとくっついてびっくりするよ。」
ゴミ箱に顔を突っ込みますか?鼠取りをいっぱいになったゴミ箱の上に置いて上にペーパータオルをかけてください。これは鼠取りで痛い目に遭わせるためではありません。鼠取りをパーンと鳴らせるのが目的です。ご注意:これをやる時は鼠取りを再度セットできるよう必ず家にいてください。
さもないと、犬は素早くゴミ箱に体当たりすれば、鼠取りがパーンというのは一回だけで、あとはゴミをあさることができるということを覚えてしまいます。思い出してください。犬は状況によって変わります。こうしたことをしても、仕掛けた一つのゴミ箱には近づかなくなるかもしれませんが、いろいろといくつかのゴミ箱で同じような目にあわないと、ほかのゴミ箱にはどれにでも近寄って悪さをします。
これらの事はあなたがオベディエンスのための犬を買い、オベディエンス競技の世界に入る前にするべきことなのです。犬はあなたがリーダーであり、あなたは良いマナーを要求しているのだという事を学ばなくてはいけません。
もしオビディエンスの本来の目的と、スポーツしてのオビディエンスを区別しなくてはいけないとしたら不幸なことです。しかしあなたがどちらをも目的としているなら、オビディエンスは競技会のリングの中でもそして外でも愛犬との生活を楽しくすることを知るでしょう。
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