成犬を迎える
なぜ成犬なのですか?うまく馴れるでしょうか?
新しく迎える犬は、大きくなった成犬のほうがいいと感じる人もたくさんいます。成犬はパピーほど手がかかりませんし、多くの場合トイレのしつけも楽です。物を齧りたがる時期も卒業していますし、やんちゃな時期も過ぎて落ち着いています。大きさや外見ももうすでに決まっています。性格も、もうすでにあなたが望むようなものを身につけてしまっているかもしれません。
子犬は遺伝的に攻撃的あるいはシャイな素因を持っていて、それが成犬になるまでわからないという場合もありますが、成犬ならそういう事はありません。また、子犬を育てるのに失敗するということも良くあることです。成犬の場合、そのような失敗はすでになされてしまっているわけで、そして普通その影響は矯正し得るものです。
成犬の場合、それまでの過去は、悪い方ではなく、むしろ実際は良い方に作用します。たいてい犬は新しい環境にすぐ順応し、新しいリーダーを探し、すぐにその人に付こうとします。「ワンオーナードッグ」(飼い主以外には従わない犬)と言われる犬種であっても、新しい主人をすぐに受け入れるでしょう。盲人と盲導犬の関係を考えてみると理解できると思います。盲導犬は、最終的に主人となる盲人の家に行くまでに少なくとも3個所の家(生まれた家、パピーウォーカー、訓練センター)を経由しているのです。
成犬を受け入れることの別の益は、その犬が心を開いて、あたらしい主人との絆をしっかりと築いたときの大きな感動です。特にその犬が誰も欲しがらなかったような犬だった場合は格別です。そのような犬をレスキューして、そして結ばれた絆は強く、特別なものです。
多くの人が子犬を欲しがるので、保護センターなどでは、成犬はなかなか貰い手がありません。しかしそのような犬に新しい良い犬生を与えてあげれるのは素晴らしいことです。
どこで探せばよいのでしょう?
成犬を譲りうけるのに良い場所はたくさんあります。動物管理センター(注:日本では成犬譲渡をしているところはまだ少ないのですが)やレスキュー組織、ブリーダー等です。ブリーダーは、育てていた子犬が予想通りのクオリティにならなかった、あるいはその他の理由で、ブリーディングに用いないと決意し、良い里親を探していることがあります。このような場合、最高の家庭犬となるでしょう。
また、飼い主の死、離婚など不測の事態により犬を手放さなくてはいけない人もいます。そのような犬はたいてい問題ないものですが、精神的にダメージを受けている場合もあります。ですから、里親を求めている成犬は身元不明で虐待を受けていた犬であるとは限らないのです。地元の獣医師にも問い合わせてみてください。動物病院には時々新しい飼い主を求めている犬の情報が寄せられるものです。
●動物管理センターおよびレスキュー団体
動物管理センターによっては成犬の譲渡を行っているところがあります。(最寄りの管理センター、保健所等に問い合わせてみてください。)また、民間のレスキュー団体でも成犬の里親を募集しているところもあります。しかし、その犬が今までどのような飼い方をされていたか、どんな癖を持っているかなどは詳しく知ることはできないでしょう。
収容所の中では静かに座っていた犬でも、譲り受けた後でだんだんと本来の性格を表してくるかもしれません。可能ならば、候補の犬と散歩させてもらったりして、慎重に自分に合った犬を選びましょう。管理センターの職員の人やレスキュー団体の人達と良く話をし、説明を聞きましょう。
管理センターにいる犬達は元の飼い主がなんらかの理由で飼う事を放棄した犬達で、それらは犬のせいではないということを心に留めておいてください。「世話をする時間がない」「充分な場所がない」「引越しをする」「犬禁止の集合住宅だから」「離婚した」「問題行動がある」などといった理由です。このような犬を譲り受ける人も、自分の事情を慎重に考え、犬を飼うという責任が果たせるかどうか自問してください。間違っても、また同じような理由で放棄されるなんてことがありませんように!
どのような大きさで、どのようなタイプの犬が欲しいのかを自分の心の中で前もって決めておくことも大事です。衝動的、感情的、あるいは軽い気持ちで譲り受けることは避けてください。
●ブリーダー
近くの信頼できるブリーダーに、里親を探している子がいないかどうか尋ねてみるのも一つの方法です。時々ブリーダーは子犬の時ショー用あるいはブリーディング用として手元に残した子が、予想通りのクオリティにならなかったため、ペットとして譲る場合がありますし、ショーやブリーディングを引退した犬に、のんびり暮らせる家庭を探す場合もあります。
ブリーディングに用いない犬もペットとして手元に置いておくブリーダーもいますが、しかし多くのブリーダーはその子のために最適な家庭を探そうとします。また、ショークオリティにならなかったから、とか譲った家庭が事情で飼えなくなった等の理由で売った犬が戻ってくるという事も良くあります。
このような犬達はたいてい良いブリーディングから生まれた素性のしっかりした犬ですし、しつけなどもきちんと入っているでしょうから、最高のペットとなり得ます。
●その他
動物病院等で、成犬の里親斡旋を行っている事もあります。また、愛犬雑誌や新聞、インターネットで里親募集の情報提供がなされています。このような媒体を通じて成犬を譲ってもらう場合は、充分にコンタクトを取り、犬の状態、譲渡条件などを確認しましょう。中には無料と言いながら後でお金を要求したり、病気の犬や深刻な問題のある犬を渡したりする悪質なケースもあるかもしれません。
どのように犬を選ぶとよいでしょうか?
どこから犬を譲り受けるにしろ、決定するまえに、検討や確認すべき事がたくさんあります。あなたが動くと付いてきますか?あなたの顔を見ますか?あなたが横に座るとどんな反応をしますか?リードの合図に反応しますか?突然の物音にはどんな反応をしますか?その犬の今までの生活はどの程度わかっていますか?健康そうでしょうか?びっこ引いていませんか?おやつをあげようとするとどんな反応をしますか?
レスキュー団体から譲り受けるのであれば、たいていはその犬はその団体のスタッフにしばらく世話をされていたはずですから、その犬の性質について詳しく聞くことができると思います。もしあなたに小さいお子さんがいたり、他のペットがいたりするなら、子供や他の動物に対する反応についても聞いてみましょう。
ブリーダーから譲り受ける場合は、その犬の今までの生活や性格についてすべて教えてもらえるはずです。質問があるなら遠慮なくすべて聞きましょう。
以下のような性格テストをしてみるものいいかもしれません。しかしレスキューされた犬等は、まだ精神的に不安定な状態にあるのかもしれないということを念頭に置いてください。
- 話し掛けてみましょう。あなたを見ますか?それとも無視しますか?逃げ去ろうとしますか?
- 立って、その犬に近づいてみましょう。どのような反応をしますか?寄って来て手を舐めようとしますか?耳を伏せて仰向けに寝そべりますか?後ずさりしますか?耳を伏せて後ずさりしながら唸りますか?
- しゃがんで、犬の方へ手を伸ばしてみましょう。(犬を触るのではなく)寄ってきますか?あなたの手の匂いをかいだり舐めたりしますか?逃げ去って行きますか?
- もしお子さんがいるなら一緒に連れて行ってみましょう。犬は子供を見てどのような反応をしますか?寄って来ますか?子供たちは犬にどんな反応をしますか?
- 犬によっては女の人は大丈夫だけど男の人を怖がるという事もあります。ですから家族で飼う場合は、そのような事がないか確認しましょう。
- 歩いて犬から離れてみましょう。犬は付いて来ますか?
- 紐を付けて一緒に散歩してみましょう。どのような反応を示しますか?
唸る、噛み付くなどの不安定な性格の犬は普通里親募集はされません。すぐに伏せたり、仰向けになったりする犬は一般的に気の弱い犬(服従的)です。極端であったり、あなたがそのような性格が嫌いでない限り、問題はありません。あなたに寄ってくる(たとえ注意深くであっても)犬はフレンドリーな性格の犬でしょう。これらは大まかな判断基準です。極端に怖がりの犬は、あなたがそのような犬の性格の矯正についての充分な知識を持っていない限り、やめたほうが良いでしょう。そのような犬は恐怖から人を噛んでしまうこともあり得ます。
フレンドリーさを表す態度:耳はリラックスしていて、尻尾は背中の高さで、中ぐらいの速さで振っている。寄ってきて匂いをかぐ。人の顔を見るが、人が長い時間見つめていると目をそらす。遊ぼうという姿勢(前肢は伏せて、後肢は立っている)をする。
服従的な性格を表す態度:耳は伏せている。目は常にそらしている。少し排尿してしまう。仰向けになる。人の顎あるいはその周辺を舐める。尾は両足の間に挟んでいる。
恐れを表す態度:耳は伏せている。目をそらし、尾は巻き込み、人から逃げ去る。隅で震えている。物音に脅えたり叫んだりする。
優位性あるいは支配性を表す態度:耳は前方を向いている。尾は高く上げ、強めに振っている。仁王立ちに立って人を見つめる。これらは必ずしも悪いことではありません。フレンドリーに寄ってくるなら、これらは犬の自信の表れです。もし人を見て唸るなら、攻撃的な犬かもしれません。
攻撃性を表す態度:耳を前方に向け、しっかりと立って人に唸る。尾は上げている。睨む。
恐れから噛む犬の態度:耳を伏せ、服従的な姿勢(伏せる、仰向けになる)を見せながらも唸ったり、噛み付いたりする。
人に対してまったく興味を示さない犬もいます。何をしても何の反応も示さないのです。そのような犬は病気かもしれません。あるいは疲れているのかもしれません。あるいは単に独立心の強い犬なのかもしれません。
上記の性格テストと同時に、あなた自身との相性も良く見ましょう。一番大事なことはあなたがその犬とこれから共に暮らすことによって、あなたが楽しみ、あなたの生活が豊かになるだろうと感じるかどうかということです。もし自分に合わないという理由で、候補の犬を引き取ることを断念するとしても、そのことに罪悪感を感じないでください。犬も人間も双方が幸せになることが大事なのです。
性格のチェックに加えて、健康状態のチェックもしましょう。歩きかたがおかしくないか、息の仕方がおかしくないか等です。そして犬を譲ってもらったならその足で動物病院に連れていき、健康診断をしてもらうことを勧めます。深刻な問題があるとしたら、家に迎え入れてしまう前に見つけ出したほうがいいからです。