子犬を迎える
(引用資料:Cindy Tittle Moore 著 Your New Puppy)
パピーの噛み付きについて
1胎のパピー達が遊んでいるのを見ていると、パピー達は、お互いに口で噛んだり咥えたりして遊んでいることが多いのに気が付くと思います。これはごく自然な遊びです。これらのパピーの中から一頭を連れて帰れば、そのパピーはあなたと口を使って噛んだりして遊ぼうとするでしょう。これもごく自然な行為です。しかし喜ばしいことではないですから、コントロールする必要があります。
まず最初にパピーに教えなくてはいけないのは、人間の体は、他のパピーと比べて痛みに敏感で、傷つきやすいということです。このトレーニングは「噛み付きの抑制」(bite inhibition) と呼ばれます。パピーは細い歯と力が弱い顎を持っています。ですからパピーが咥えたり噛んだりすると、痛いけれども大怪我をすることはないということです。成犬は太い歯と力強い顎を持っています。ですから成犬が噛みつかれると大怪我をすることがあります。
どんな犬でも噛み付く状況に陥る時があります。もし小さい子供があなたの犬に乗りかかり、指で犬の目を突こうとして、あなたの犬が噛み付いたとしても驚いてはいけません。もしパピーに噛み付きの抑制のトレーニングを行うなら、傷をつけずに、咥えたり放したりさせることができます。うまくトレーニングしていないと激しく噛んで大怪我をさせることになるかもしれません。
噛み付きの抑制をパピーに教えるのは簡単なことです。パピーがあなたに歯を当てるたびに「痛い!」と不快な声を出すのです。これによってたぶんすぐにパピーは噛むことを止めたりはしませんが、段々と噛み方が柔らかく、優しくなっていくでしょう。
パピーに噛んではいけないことを教えるために必要なコマンドは、簡単で楽しいものです。小さい粒のドライフードを手に持ち、「どうぞ」と優しい口調で言って一粒与えます。それから残りのフードは手に握り、同じような優しい口調で「オフ」と言います。パピーが3〜5秒ほどあなたの手に触れなかったら、また「どうぞ」と言って一粒あげます。こうやって「オフ」というコマンドは手に触わってはいけないという意味であることを教えるのです。このトレーニングは食餌の直前にはやらないでください。
このトレーニングを1、2週続けた後、以下のようにパピーの噛み付きをコントロールします。
1)ふいに噛んだ来た時(あなたはパピーの歯が触れるまで気が付かなかった)
「痛い!」と言います。
2)噛もうとしているのに気が付いた時
噛み付く前に「オフ」と言います。
3)パピーが遊んでほしくて噛んできた時
あなたは自問しなくてはいけません。「今パピーと遊んでやる時間があるかしら?」もしあるのなら、「シット」「ダウン」「スタンド」などの命令を出して誉めてやるトレーニングをして遊びましょう。もし「今はかまっている時間がない」のなら、パピーをしばらく離しておきましょう。(クレート等にパピーを入れます。そうすればパピーはそれ以上噛んであなたを悩ますことはできません。)
良い行為を強化する
パピーは人の関心を引きたいのです。関心を引くためにたくさんの事をします。たとえそれが良くないことであっても。ですから、もしあなたがパピーがやってほしくない事をした時に叱り、良い事をした時には無視するなら、それは悪い事をすることを強化することになります。
ですから、悪い事をした時は無視するか、あるいは叫んだり叱ったりしないで止めさせて、良い事をした時、たとえそれが座ってあなたを見たとか、静かにおもちゃを噛んでいたというような単純なことであっても、大袈裟に誉めてください。人によっては、いつもの反応を全部逆にしないといけないので難しいかもしれません。しかしこれは重要なことなのです。こうすることにより、パピーはあなたに注意を払い、あなたがしてほしいことを喜んでするようになります。
夜泣き
パピーは寝る時間になると「群れ」(母犬や兄弟犬)に戻りたいと思います。これは犬としてごく自然なことです。子犬は群れからはぐれると、鳴いて知らせます。そうすることにより、母犬に見つけられ戻されるのです。それゆえに多くのしつけに関する本では、夜泣きの対処として、パピーを飼い主の部屋で一緒に寝かせることを強く勧めています。
クレートをあなたの寝室に移動してください。もしパピーがクンクン鳴いたら、トイレに行きたいから鳴いているのかどうかを確認してください。つまり起きて外に連れ出してやるのです。それでもまた鳴いたら、クレートのドアを手で叩いて、「ノー。寝なさい」とか「静かに」と声をかけてください。まだ鳴き続けるようなら、おもちゃを入れてやり、そしてその後は鳴いても無視します。なだめる事によって鳴くことを強化してはいけません。そのうちパピーは静かにしていることを学びます。また、寝る直前に、良く遊んであげましょう。そうすればパピーは良く眠ることができます。
あなたの寝室の一角にサークルを置いてパピーの寝床を作ってあげるのもまた一つの方法です。ドアは閉めておきましょう。鳴きながらうろうろしはじめたら、トイレのために外に連れていくか、先ほど述べたように「ノー。寝なさい」と言ってください。
もし何らかの理由でパピーをあなたの寝室で寝かせられないのなら、パピーの寝床の側にチクタク鳴る時計を置いたり、あなたの臭いのついたTシャツを寝床に入れてあげるといいかもしれません。
歯の生え変わり
生後4ー5ヶ月で、パピーの歯は乳歯から永久歯に生え変わります。この時期の痛みを和らげ、噛むことをコントロールするためにいくつかしてあげられることがあります。
- チキンスープ(塩分の低い物)を製氷皿で凍らせてキューブにしてパピーにあげます。
- きれいなタオルを水に浸けて、それを絞って凍らせて、パピーに噛ませてあげます。
- ドッグフードはお湯をかけて少し柔らかくしてあげます。
- あなたの手や腕を噛むことはやめさせます。
乳歯の抜け方にはパターンがあります。まず前の門歯が抜けます。その次に犬歯のすぐ後ろの前臼歯が抜け、その次に後臼歯が抜けます。(永久歯の臼歯が生えてきているのがわかるはずです)最後に犬歯が抜けます。乳歯が抜ける前に永久歯の犬歯が生えてきて二重になってしまう時もあります。
この生え変わりの時期は、時々痛みがあり、歯茎から血が出たりします。この時期のパピーはいつもよりもさらに物を噛みたがります。しかし噛むとさらに痛いかもしれません。(ですから上記の事を勧めます)抜けた歯を見ることはほとんどないでしょう。たいていのパピーは飲み込んでしまいます。
トイレトレーニング
(クレートレーニングコーナーを参照してください)
犬は一般的に自分の寝るところは汚さないものです。この習性を利用してトイレトレーニングが出来ます。しかし以下のような場合は例外です。
- 広すぎるクレートに入っている(犬はクレートの片隅で排泄し、その反対側で体を汚さずに寝れる)
- 大事な成長期にペットショップの小さいケージの中で過ごし、ケージの中で排泄する習慣を身につけざるを得なかった。
- 毛布など柔らかくて吸収性のあるものをクレートに入れている。
- 長い時間クレートに入れられていて、我慢できずに中でしてしまう
もし、成犬のサイズに合わせてクレートを買って、クレートがパピーには広すぎるなら、金網などで仕切って、パピーのサイズに合わせることができます。パピーが成長したら仕切りを取ることができます。
クレートを使ってトイレトレーニングをするのなら、きちんと時間のスケジュールを決めて、トイレに行きたい時はクレートの中にいるか、外(あるいは犬のトイレ:大型犬や中型犬の場合は、犬用トイレを使うより庭などの土の上でさせるほうがよいでしょう。)に出しているかどちらかである(そういう時に家の中をうろうろさせない)ようにしてください。
家の中でしてしまった時は穏やかに叱り(大騒ぎしたり、そこに鼻をこすりつけて叱るという方法はいけません。できるだけ静かに片づけましょう。)外あるいはトイレでした時は明るく大袈裟に誉めまくりましょう。そうすることにより、部屋でするより外またはトイレでするほうがいいんだとパピーは理解しはじめます。家の中でしてしまった時に厳しく叱る人がいますが、それはパピーの性格にとても悪影響を及ぼします。家の中でした時と外またはトイレでした時のあなたの反応の違いをわからせるのです。ですから中でしてしまった時に叱るよりも、むしろ外またはトイレでした時にうんと誉めることが大事です。
パピーのトイレトレーニングというものは比較的シンプルなものです。一番大事なことは、これは時間がかかるものだと理解することです。小さいパピーは排泄を我慢できないのです。したいと思った時にしてしまうのです。ですから生後4ヶ月くらいまでは、していい場所ですることを誉めてはげまし、してはいけないところでしてしまうのをなるべく防ぐことくらいしかできないのです。以下の事を念頭に置いてください。
- トイレトレーニングの第一のルール:パピーが寝て起きたらすぐにトイレに連れて行くこと。
- トイレトレーニングの第二のルール:パピーが食餌を食べおわったらすぐにトイレに連れていくこと。
この二つのルールは、パピーがトイレトレーニングをマスターするまでは鉄則と言えます。それまではあなたはパピーに失敗させないように、クレートに入れたり、注意深く監視していなければきません。
ですから、パピーには自分では出て行けない寝場所が必要なのです。パピーが一晩中排泄をしないでいることは無理だということを理解してください。ですからパピーが夜鳴いたら、あなたは起きてパピーを外またはトイレに連れ出し、排泄するまで待たなくてはいけません。排泄したなら大袈裟に誉め、そしてまたベッドに戻りましょう。朝も再び連れていき、排泄をさせて誉めましょう。食餌の後や寝て起きた後も、連れて行きましょう。
この時は遊ぶ時間ではないことをわからせるべきですが、パピーは外に出ると草や芝生や、葉っぱなどに興奮して、何をしに外に来たかを忘れてしまうことも理解してあげてください。可能なら毎回同じ場所に連れて来ると、匂いをかぐことによってパピーは何をしに来たのかを思い出すでしょう。
後々のために、排泄を促す言葉を決めて使うといいでしょう。「早く」とか「しなさい」などの短い言葉を使ってみてください。そのうちその言葉によってパピーは排泄するようになり、そうなれば、例えばドライブの前とか公園に行く前など、必要な時に排泄を済ませることができますからとても便利です。
外で排泄を済ませたばかり、あるいはあなたが注意深く監視して、排泄のサインが見られたらすぐに外に連れて行けるという時以外はパピーを部屋の中で放しておかないでください。トイレトレーニングの成功の鍵は「失敗をさせない」ということなのです。もしパピーが一度も失敗しないなら(そんなことはないですが!)、パピーは外やトイレ以外で排泄するなんてことは知らないままでいるのです。
これは一つのトイレトレーニングのスケジュールの例です。飼い主は仕事に行っていると仮定しています。参考にしてください。
午前3時 トイレに連れて行く。排泄したらクレートに戻す。
午前7時 トイレに連れて行く。
午前7時15分 クレートの中で食餌を与える。パピーはクレートに入れたままにする。
午前8時 トイレに連れていく。排泄したらクレートに戻す。
午前8時15分 飼い主は仕事に出かける。
午前11時30分 飼い主が戻る。トイレに連れて行く。
午前11時45分 パピーをクレートに戻す。飼い主は仕事に戻る。
午後5時 飼い主が仕事から戻る。トイレに連れていき、排泄させ、遊ぶ。
午後7時 クレートの中で食餌を与える。パピーはクレートに入れたままにする。
午後7時45分 トイレに連れていき、排泄させ、遊ぶ。
午後11時 トイレに連れていき、クレートに入れ、就寝する。
基本トレーニング
(クレートレーニングコーナーも参照してください)
大きい犬でも小さい犬でも、ショードッグでも作業犬でも普通の家庭犬でも、すべての犬にとって基本的なオビディエンス(服従)トレーニングは大切です。少なくとも基本的なトレーニングだけはしてください。あなたと犬は違う言葉を話しているわけですから、基本的なオビディエンスをやらないで、どうやってコミニュケーションできるでしょう?
オビディエンストレーニングを行うことにより、あなたは犬に屋って欲しいことを伝えることができますし、犬もあなたがして欲しいことを理解し、それを行うことができるのです。また、これを行うことによってあなたの犬を「グッドシチズン」(良き市民)にするという目的もあります。つまり、しつけられた犬は、人に飛びつく、呼んでも戻って来ない、人や犬に吠え付くなどの迷惑な行為はしてはいけないことを学んで知っていますから、他人や社会に受け入れられる犬となります。
しつけ教室
近くに良いしつけ教室がないか探してみましょう。「パピークラス」はパピーを社会化するためにも有益です。毎日10分練習を続けましょう。そのしつけ教室が気に入ったなら続けて参加しましょう。一度基本的なことを学んでしまえば、それを応用することによって色んな事ができる事にきっと驚くでしょう。トレーニングは楽しいものであり、そしてやり方さえ間違えなければ簡単なものなのです。楽しんでください!
家でのトレーニング
パピーは多くの人々が考えているよりずっと早く学びはじめることができるのです。6ヶ月になるまで待って、というのは実際とても遅いと言えます。それまでにたぶんいろんな問題が生じるはずです。パピーが来たら、すぐに基本的なしつけを始めましょう。手や指を噛んだ時、人に飛びついた時などは鋭く、「ノー!」と言えばいいのです。こういう行為はパピーがしているとかわいいかもしれませんが、成犬になってからもするなら困るはずです。
そんなに厳しく叱ってはいけません。それを止めたならすぐに誉めることが大事です。人が食事をしている時は、パピーはテーブルが見れないような所にいさせましょう。食べ物をねだったり、鼻を鳴らしたりすることを防止するためです。(しかし別の部屋に置いておくとパピーは寂しくて鳴きはじめるでしょう)遊んでいる時にふざけてあなたの手を噛んだら、代りにおもちゃを与えましょう。パピーが噛んだら「あ!」とか「痛い!」と声を出してください。同胎の子犬達が遊んでいて強く噛み過ぎて限度を超えた時にパピーはそういう声を出して相手に知らせるのです。またこういう声を出すことによってパピーの注意を引き付け、噛むことは良いことではないことをわからせることができます。
大事なことは、「ノー!」と言ってパピーが止めたならすぐに誉めるということです。それは極端な態度の変化のように思うかもしれませんが(また、端から見れば変に見える鴨しれませんが)それでいいのです。あなたはそうすることでパピーにあなたの意思をはっきり伝えることができるのです。ポジティブな強化(誉めること)はネガティブな強化(叱ること)と同じくらい必要です。あなたが間違うたびに叫んで咎めるだけで、間違いを正しても何も言わない、という人がいたら、あなたはどのように付き合えますか?
誉めるだけでいろんな事を教えるのはとても楽しいですし、後に正式なオビディエンストレーニングをするための基礎作りになります。正式なトレーニングはまだこの段階では必要ありません。その代り、日常生活におけるマナーを教えること、犬に注意を向けさせること、楽しい方法(遊びやゲームのようにして)で後に大事になるいろんな事(座れ、伏せなどの基本コマンドやレトリーブ、ジャンピングなど)を教えること、リードを引っ張って歩いてはいけないといった基本的な事を教える(脚側行進を教えるのではありません)ことに集中してください。それが将来のための良い礎となるはずです。