食餌と大型犬の進行性骨関節疾患

適切な食餌は骨や関節の疾患の発生のリスクを少なくするのに役立ちます。


進行性骨関節疾患(DOD:developmental orthopedic disease)は大型犬や超大型犬の飼い主やブリーダーにとって心痛の種になる問題です。DODとは骨や軟骨の成長異常によって起こる骨や関節の疾患の事です。
最も良く知られているのが股関節形成不全と骨軟骨症です。



●犬種による差
 成熟したときの体重が30キロ以上になる大型及び超大型犬種のパピーは、もっと小さい犬のパピーよりもDODが生じ易いと言えます。その第一の原因は成長速度の速さにあります。

たとえば、グレートデンは、生まれた時は通常1ポンド(450g)以下ですが、たった18ヶ月で75キロ以上になります。(人間の場合と比べてみてください。人間は体が成熟するのに少なくとも18年かかります。)大型犬のパピーの最初の一年は、体内での骨を作るシステムが極めて活発な状態です。そして骨と関節の成長がアンバランスになる時があります。

DODはただ一つの原因だけで生じるのではありません。遺伝的要因がおそらく最も強いでしょう。しかし食餌もその要因となり得ます。過剰給餌され、体重が過剰になったパピーはまだ未成熟な骨や関節に障害を受けやすくなります。長年に渡って、カルシウムあるいはビタミンCの欠乏がDODの原因となり、それを補給することはDODの予防になると信じられてきました。

しかし現実には、良質の市販のパピーフードを与えているなら、栄養の欠乏というのは極めてまれであり、逆に、ある栄養素の過剰投与のほうが、はるかに問題です。例えば、カルシウムの過剰摂取は、それが食餌に含まれているものであろうと、カルシウム剤の添加によるものであろうと、骨と関節の成長のバランスを崩し、DODのリスクを増大させます。

また、一般に信じられているのとは逆に、たん白質の過剰摂取はDODの原因にはなりませんし、たん白質の摂取を減らすことはDODのリスクを減らす助けにはなりません。DODの主要な原因は急激な成長なのです。今日市販されているパピーフードの多くは高脂肪で高カロリーです。高カロリーの食餌は、パピーの成長を急速にしますので、パピーの健康を損ないます。大型犬のパピーの摂取カロリーを減らすことは、股関節形成不全のリスクも減らします。

● リスクを減らす
大型犬あるいは超大型犬の飼い主は、パピーの食餌管理によって以下の事を努力してください。

1)ゆっくりとした、かつしっかりとした成長をさせてあげてください。パピーの時の食事制限は、パピーが成長した時のサイズや筋肉の発達に影響を与えません。その成長速度が遅くなるだけです。

2)肥満を避けてください。特に成長期は。

3)パピーに合った良質のドッグフードを与えることにより、正しいビタミンとミネラルの摂取量を維持してください。

4)自家製の食餌は避けてください。それは栄養素の欠乏や、栄養のバランスを崩すリスクを増やしますので、特に成長期には危険です。

5)サプルメントは避けてください。成長期は特にサプルメントが危険を及ぼす時期です。ほとんどのドッグフードは適切な量のビタミンとミネラルを含んでいますから、サプルメントによる添加は害になり得ます。


DODのリスクを減らすための、大型犬と超大型犬のパピーへの最良の給餌法とはどのようなものでしょう?多くの人は、大型犬の子犬は生後3、4ヶ月でアダルトフードに切り替えることを勧めます。しかしこれらのフードの多くはパピーの栄養必要レベルよりも栄養素が不足しています。

その代りに、新しいタイプの「大型犬用パピーフード」を試してみるとよいかもしれません。これらのフードは通常のパピーフードよりも脂肪分を減らし、カルシウムとリンのレベルも低くしていますが、しかしパピーの栄養要求量を充分に満たしています。

このようなフードはほとんどの大型犬と超大型犬のパピーに適応し、骨格が成熟するまで用いるべきです。(犬種によって違いますが、だいたい12〜18ヶ月令まで)DODのリスクを少なくするもう一つの方法は、良質のパピーフードを過剰にならないよう注意深く与えることです。

パピーの体をやや痩せ気味くらいに保ち、ゆっくりと成長させるべきです。良いコンディションを維持することによって、その子がなるべき大きさにゆっくり到達することを助けてあげてください。目で見るのではなく、肋骨を触ることによってその状態を常に確認すべきです。

● 食餌のやり方
 それぞれのドッグフードは違った特徴を持っていますから、より詳しく知るために、メーカーに電話で問い合わせたり、かかりつけの獣医師に聞いてみましょう。

どんなフードであれ、食餌の与えかたはDODのリスクを少なくするために重要です。フリーチョイスフィーディング(いつでもパピーが食べたいだけ食べれるようにフードを置いておく)は最もシンプルな方法です。しかしパピーによっては必要以上に食べてしまい、その結果急激に成長したり肥満したりします。

ですからこの方法は大型犬や超大型犬には、成熟するまでは良くありませんし、その後でも肥満の原因になる場合もあります。適切な成長と体調を維持するために、毎回フードの量を計って与える方法は、大型犬のパピーにはより相応しい方法です。一日2〜4回に分けて与えることによりパピーはひもじい思いをしないでしょう。

また、フードの袋に書かれている量は単なる基準量でしかないということを忘れないでください。それぞれの犬には個体差がありますから、犬によってその袋に書かれている基準量より少なくていい場合や足りない場合もあります。

適切な食餌が与えられていてもDODを発症するパピーもいます。しかし注意深いブリーディングと、良い食事管理と、良い体調を維持することによって、そのリスクを最少にすることができ、幸せで健康で健全なパピーを得る可能性を増やすことになります。

By Lisa Freeman DVM(AKCガゼット 98年4月号)
(リサ・フリーマンはタフト大学獣医学部の獣医臨床栄養学者である)
この記事はAKCガゼットより出典、GRCJ提供、転載の許可をいただいています


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