ダックスフント
(Steven Michelson 著)
はじめに
ダックスフントについて学びたいと思っていらっしゃるのですね?それは良いことです。彼らは独特の性質を持ち、そのユニークな姿形も活発でおどけた仕草もおちゃめでかわいいのです。
1996年はAKCの登録数は第7位でした。この犬種は長い間、常に上位10位以内に位置しています。この記事とFAQは、ダックスフントのバックグラウンドと性質を説明するために、私の初めてのダックスフント、「チリー」との経験や、他のダックスファンシャーとの意見交換等様々な資料や事実・経験を元に書かれたものです。
ダックスフントの歴史
現在のダックスフント(ドイツ語で、テッケル、ダッシェルとも呼ばれます)はドイツが原産国です。事実、ダックスフントとはドイツ語で「アナグマ犬」という意味で、これはこの犬種がアナグマの狩りのために作られた犬であることを表しています。18世紀及び19世紀に、ドイツの林業家が、アナグマの穴を掘り当てて、穴に入る習性を持つアナグマと戦って仕留めることができるような、勇敢で胴の長い犬を求めて、様々な犬種を交雑しこの犬種を作りました。
ダックスフントはキツネ狩りにも用いられましたし、信じられないかもしれませんが、イノシシ狩りにも用いられました。私のチリーは、すっかり家庭犬として飼い慣らされ、甘やかされていましたが、それでもこの内なるハンティング本能を維持し、育んでいました。彼女は体をドーナツのように丸めて(これはダックスのお気に入りの姿勢です)静かに眠っていたかと思うと、突然ソファーから飛び降りて、獲物に襲い掛かり、捕獲していたものです。それは家によくいる普通の虫で、幸いなことにイノシシではありませんでしたが。
最初にダックスフントがアメリカに輸入されたのは1887年のことでした。それ以後、数十年でアメリカでのダックスの数はとても増えました。1914年までには、ウエストミンスターKCのショーにおける出陳頭数が10位以内に入るようになりました。しかし第一次世界大戦中は、ドイツの物はなんでも嫌われる風潮が広まり、不幸な事にダックスフントもその敵意の的になりました。
実際にダックス達は石を投げつけられたり、ダックスの飼い主は非国民呼ばわりされたものです。その結果、アメリカとイギリスにおけるダックスの数はだんだんと少なくなっていきました。そして大戦後、少数のアメリカのダックスのブリーダーが、ドイツから犬を輸入してブリーディングストックを揃え、それによってダックスの数は再び増え始めました。第二次世界大戦の勃発は、ダックスに第一次世界大戦の時のような影響は与えませんでした。なぜなら、ブリーダー達はその時までにしっかりと基礎を確立し、この犬種はとても人気となっていたからです。
アメリカにおいては、ダックスフントには全部で8の種類があります。サイズは、ミニチュア(大体5.5kg以下)とスタンダード(それ以上、通常9〜10kg以上)の二つに分かれます。他の国ではもっとサイズの種類があるところもあります。ドイツでは、生後15ヶ月時の胸部での体高によって、スタンダード、ミニチュア、カニンヘンに分けられます。それぞれのサイズにおいて、コートの種類が3種類あります。
スムースコート、ロングコート、ワイアーヘアーの3種です。スタンダードのスムースコートのダックスがアメリカでは一番人気があります。そのコートは短く、平滑で、光っています。ロングヘアーのスタンダードダックスの起源には2つの説があります。一つは、スムースコートのダックスがたまに、両親よりも少し毛が長い犬を生むことがあり、そのような犬を選択繁殖して、毛の長いダックスを常に生む犬を作り出し、そしてロングヘアーのダックスが誕生したというものです。
もう一つの説はスムースコートのダックスを、様々なスパニエルと交配して、ロングヘアーのダックスを作ったというものです。どちらにしても、結果として、アイリッシュセッターのようなコートと、スパニエルのような気性を持った、美しい犬が出来上がったわけです。例外もありますが、一般にロングコートのダックスは他の2種類のダックスよりも大人しくて従順な傾向にあります。私の初めてのダックスであるチリーは、スタンダードのロングヘアーのダックスで、まさにそういう性格で、特に室内に人がいる時はそうでしたから、その点で私はとても幸運だったと思っています。
ワイアーヘアーのダックスは、スムースコートのダックスを様々な剛毛を持つテリアやワイアーヘアーピンシャーに交配して作られました。彼らはそのあごひげと、ブラシのような眉毛によってとても賢く見え、そしてよく目立ちます。コートはワイアーのようで、短く、太く、そして粗めです。親戚であるスムースコートのダックスと同じように、ワイアーヘアーのダックスはいたずら好きな傾向があります。色はレッド、ブラック、ダップルがあります。チリーはレッドの両親から生まれましたが、ブラックでした。面白いことに、少なくともロングヘアーにおいては、レッドのコートはブラックよりも柔らかく、細いようです。
身体的特徴と性格
ダックスフントは胴長短足の犬として知られています。この体型は彼らの機能のために作られました。体高が低いことにより、トンネル(穴)の中に巧みに入ることができます。ダックスは5感すべてが発達していて、そしてとても勇敢です。また彼らはとても自立的です。最小のハンティングドッグですから、彼らは仕事をする際は自立的(自分で判断し行動する)でなくてはいけません。
この事を忘れないでください。この彼らの自立性が他の性質(後で述べます)とも大きく関係していると私は考えます。(ところで、もしあなたが体高の低い、ユニークな姿の犬に興味があるなら、バセットハウンドも候補に入れるといいでしょう。事実、フランス語で「バセット」とは「低い」(low-set)という意味で、ダックスフントはフランス語では「バセット・デ・レース・アルマンデ」といいます。ダックスフントクラブオブアメリカの文献によれば、ダックスフントはバセットハウンドの子孫でもあるようです。)
ダックスフントは人がやることをなんでも一緒になってやりたがります。これはいつでも助けになるとは限らないのですが。私のチリーは私が彼女と外へ散歩に行くために靴を取り出すのを見ると、しばしば、早くさせようと、私が靴紐を結ぶのを手伝おうとしました。言うまでもなく、彼女はやる気満々で、鼻を靴紐に押し付けるのですが、彼女と暮らした4年間の中で、ただの一度も彼女の手助けが役に立ったことはありませんでした。
ちょうど3才の子供がケーキを焼くのを「お手伝い」しようと、卵を割ろうとするのと同じようなものです。彼らは遊び好きですが、彼らはあなたを彼らの「遊びのルール」に従わせようとします。それは他の犬達が普通に用いているルールと同じかもしれませんし、違うかもしれません。私はマシューという名前のチャンピオンのスタンダード・ワイアーヘアーの犬を知っていますが、私は彼の血統のどこかにレトリバーが入っているに違いないと思っています。
彼はボールを追いかけ、レトリーブするために生きているような犬です。これはダックスでは珍しいことではありません。しかし、ボールを追いかけるのは大好きなのですが、それをあなたの所へ持っていかなくてはいけないと思うとは限りません。これがダックスの「遊びのルール」の一例です。
ダックスフントに合う人は誰でも、その犬は誰の犬かということがすぐわかります。多くのダックスはワンオーナードッグ、つまりその主人と強い絆で結ばれているのです。ですからダックスの飼い主は家の中で1人になることはありません。家の中のどこへ行こうと、胴長短足の影がいつも後から付いてくるのです。これはダックスが主人以外の人間を嫌うという意味ではありません。まったく逆です。しかし彼らはいつも誰が自分の主人であるかをはっきりと認識しているのです。
日常の世話における注意点
ダックスフントを肥満にさせないようにすることはとても大事です。それは健康を保つための一般的な理由だけでなく、彼らの長い背中は、椎間板ヘルニア(椎骨と椎骨の間の軟骨が硬化したり突出したりして脊髄を圧迫し、神経の麻痺を引き起こす)になりやすいからです。
それは全身あるいは部分的な麻痺の原因になります。幸いなことにこの疾患は治療可能で、迅速な対処(背中の痛みがあるとわかったらただちに)をすればほぼ完全に治せます。また、椎間板の障害のリスクを減らすために、たとえばチンチンをしておねだりをするというような、背中に負担のかかる行為をさせないようにすることも大事です。また、ダックスを持ち上げる時は気を付けてください。
背骨が真っ直ぐな状態で持ち上げなくてはいけません。フットボールを持つように持ち、下半身はあなたの脇の下に抱え込み、手で胸の所を支えて持ち上げれば、背骨を真っ直ぐに保つことが出来、背中に負担をかけません。だからといって、私はダックスが弱い犬である印象を与えたいと思っているのではありません。
彼らは弱い犬ではありません。(ハンティングの目的で作られた犬なのですから)ただ、少しの配慮によって長く健やかな犬生を送らせてあげることができると思います。また、ついうっかり良くない抱きかたをしたからといって、すぐに背中を痛めるというわけではありません。しかし備えあれば憂いなしです。
FAQ
Q1:トイレのしつけは簡単ですか?
A1:ダックスフントのトイレのしつけは難しいかもしれません。これまで多くのダックスのオーナー達と話しましたが、「95%失敗しません」というような答えが返ってくることは珍しくありません。私は、彼らの天性の自立心の強さがトイレのしつけを難しくしているのではないかと感じています。馬鹿だからとか、意地悪してわざと失敗するということではなく、彼らは、外へ行って排泄しなくてはいけないといつも思うわけではなく(特に天気の悪い日は)、その結果中でしてしまうこともやぶさかではないと考えるようです。あなたが鬼のような人でない限り、彼らの茶色でアーモンド型の熱い瞳をした好奇心旺盛で愛らしい表情を見れば、なぜ彼らが嫌なことはしばしば避けるかがきっと理解できると思います。
Q2:私の愛犬のダックスフントに、寒い日に車のエンジンをかけておくことを教えたいのですが、それは可能でしょうか?
A2:おそらく無理です。トレーニング云々というのではなく、彼らは足が短く、親指は物を挟めますからその仕事は無理でしょう。しかしダックスフントはとても賢い犬です。私はそう確信しています。彼らは物事を素早く理解します。しかしやりたいと思うことだけです。ダックスフントが自立心の強い特質であることを思い出してください。そのため少々頑固者であり、それがトレーニングを難しくします。彼らは理解力を持っていますが、自分の信念のようなものをしっかり持っていて、それは飼い主の考えと一致するかもしれませんし、しないかもしれません。彼らは正しい誘導を用いれば(そうすべきです)トレーニングすることができますが、何が誘導するものとして相応しいかを知ることがまず一つの挑戦となるでしょう。(ヒント:ダックスフントにおいて一般的な誘導物は「おやつ」のようです。ハウンドドッグは食べることが好きですから)しかしある意味で彼らは想像以上に賢いのです。オビディエンス競技会でダックスを見ることはできますが、それほど良く見られる犬種ではありません。私はチリーをオビディエンス競技会には出しませんでしたが、オビディエンス教室(しつけ教室)には連れていっていました。そして教室が終わった後も残ってトレーニングを続けました。彼女は今はオビディエンスのコマンドに対してとても良い反応をしますし、いくつかの芸もできます。しかし彼女を誘導するには多くの一貫した忍耐強いトレーニングが必要でした。
Q3:ダックスフントは人間の子供とはうまくやっていけますか?
A3:ダックスフントは、子犬のときから正しく社会化されているなら、子供たちととてもうまくやっていけます。私はよく自分の犬を近所の子供たち(赤ちゃんも含めて)と遊ばせます。飼いはじめた時からそうした(今もそうしています)ことによって、私の犬はどんな年齢の子供とも仲良くし、寛大に接することができるようになったと思います。しかし、どんなに子供と仲良くやっていけると言っても、子供と犬だけにして放っておくようなことはしてはいけません。
Q4:ダックスフントはよく鳴きますか?どんな声で鳴くのですか?
A4:一度鳴くことを覚えると(だいたい18ヶ月くらい)まるでもっと大きな犬が鳴いているような声で鳴きます。ですから良い監視犬(しかし警護犬にはなりません。人を攻撃しませんから。ただ鳴いて知らせるだけです。)になります。
Q5:おかしなくせってありますか?
A5:よくやるのは、変な匂いのするものに出会った時、その回りにゴロゴロ体を転がすことです。これは彼らのハンティング本能による行為です。こうすることにより自分の匂いを消して、獲物に匂いを気が付かれないようにするのです。私のチリーもよくこれをやろうとしますが、私はやりそうなそぶりを素早く見つけ、すぐにやめさせます。(彼女が何かに強い興味を示した時は、トラブルが起こる前兆です!)もう一つのハンティングドッグの名残は、穴堀りが大好きだということです。この行動は普通は外でしますが、時に家の中でもやります。「終点」とおもう所まで毛布のトンネルを掘っていったりします。
Q6:ダックスフントは毛が抜けますか?また、きれい好きですか?臭いはしますか?
A6:彼らの抜け毛の程度は普通です。そしてたいてい清潔で、臭いはほとんどしません。あまり頻繁にシャンプーする必要はありません。(特別に必要な時を除いて、月に一度以下でいいでしょう。)
Q7:どのくらい運動させなくてはいけませんか?
A7:彼らはほどほどの運動を必要とします。中くらいの距離(800メートルくらい)の運動を一日2回行えば良いでしょう。あなたがもっとしたいなら、もっと長い距離でもかまいません。彼らは相応しい世話をすれば16年以上生きる長生きの犬種です。彼らはとても社交的な犬ですから、外で飼うには向きません。人間と一緒にいるべき犬なのです。
Q8:私はダックスフントを飼いたいと思います。どこで買えばいいですか?
A8:ダックスフントがあなたにふさわしい犬だと思われたのなら、信頼できるブリーダーのところへ行くことを強く勧めます。そこではブリーダーと話し、子犬の親犬を見ることができます。とても人気のある犬種ゆえに、性格の良い健康な犬を作ることよりもお金儲けに興味があるブリーダーもいるようです。あるいは、もし一頭の犬を救いたいと思うなら、レスキュー組織などから里親探しをしているダックスフントを譲り受けることもできるかもしれません。そのような犬でも正しい世話と社会化、トレーニングによって、何年も素晴らしいコンパニオンドッグとして共に暮らすことができるでしょう。