ボーダー・コリー
(著者:April M.Quist )
性格での特徴
ボーダー・コリーは、他のどんなことを差し置いても、その飛び抜けて特徴ある性格を語らなくてはなりません。それは、非常にエネルギッシュで、スタミナ抜群で、彼らのスタイルで仕事をしたいという欲求が非常に強いということです。ボーダー・コリーの牧羊犬としてのスタイルは、羊を催眠術にかけるように、頭を低く下げて、非常に緊迫感をもって視覚をとぎすまし、じっと見据えます。
そして羊の群のいかなる動きにも注意を向け、時として知覚できないほどのかすかな動作に対しても、計算して優勢に瞬時に反応します。犬と羊の群れの双方の動を見ていると、それは静かで流
れるような動きです。このようなボーダー・コリーは、世界中で大切にされるべき羊の牧羊犬であり、知力と強い仕事欲を持った、アスリートのような犬としてよく知られています。
ボーダー・コリーは、羊を管理する牧羊犬です:彼らの本能は、離れようとする羊がいたら追い越して行って集め、羊飼いの元へ戻します。ボーダー・コリーは羊飼いの人がいなくても群れを導くこともできますが、それは普通、本能に従ってすることではありません。
典型的なボーダー・コリーは仕事の虫です。それが牧羊犬としての仕事でなくても、オベディエンス、アジリティー、あるいはその他のいろんな運動力のいることに従事している時、ボーダー・コリーは勝れた能力を発揮し、またその時が最高に幸せなときです。おそろしくすばしっこく、非常にエネルギッシュで、忙しく動き回る犬で、とても多くの運動量が必要な犬です。
持久力のために生まれてきたような犬で、働いているときのボーダー・コリーは地勢の複雑なむずかしいところでも1日に何マイルでも走り回ることができ、また翌日も疲れを知らずに同じように走り回ることができます:アスリートのような彼らボーダー・コリーにとっては、数マイル走ることくらい、朝飯前の準備体操です。飼い主がそれをよく理解して、毎日いっぱい運動させてあげる限り、とてもご機嫌で静かな犬です。運動が足りずに欲求不満で庭などに穴を掘るようなボーダー・コリーは、やがてノイローゼになったり、取り憑かれたような妄想を持ったり、破壊魔になったりしてしまうでしょう。
ボーダー・コリーは、鳥、他の犬、猫、子供達、リス、ウサギ、鹿、虫、果ては芝刈り機、掃除機、ほうき、熊手まで、動く物なら何でも群れとみなして、その番をします。ボーダー・コリーはどちらかというと、かかとを噛んで番をするより、”目”で見据えて番をする方ですが、でも彼らの多くはかかとを噛んで群れを統率するような習性をも持っているので、もしあなたが走り出したら、あなたやあなたの子供のかかとや足に噛みつくかもしれません。もし彼らのこういう本能を理解しないで扱おうとすると、それはボーダー・コリーの牧羊犬としての習性を、本当に危険な方へと向かわせます。またボーダー・コリーはカーチェイスをする、つまり車と競争する傾向があり、多くのボーダー・コリーが車のタイヤにひかれて若死にしているのです。
ボーダー・コリーを飼うと、まるであなたの影のように、いつどこにでもあなたにピッタリと付いているでしょう。ボーダー・コリーはあなたのことを群れの番をするようにいつも眺めていて、もしあなたに何か起こりそうなときは、急いであなたの前に回り込みます。彼らは盛んに周囲に注意を払い、非常によく見守り、人間志向が強いです。
しかしながら、よく社会性を身につけさせておくことが大切です:ボーーダー・コリーはこのような習性から他の者に対して無愛想であったり、また他の犬に攻撃的になったりするからです。高い知能と、素早い学習能力を持っていますが、成熟するのはゆっくりです。2歳〜3歳くらいまでかけて、ゆっくりと成熟していきます(あるいはもっと遅いかもしれません)。それまでは、まだ”赤ちゃん”であり、10歳〜12歳に至ってもまだまだ非常に活気に満ち、行動力に溢れています。ボーダー・コリーが3歳〜4歳になるまでは、落ち着いて成熟した行動を期待してはいけません。
歴史
ボーダー・コリーの起源は、スコットランドとイングランドの州の境界辺りの地方に発します。とても古い犬種で、文献によると1570年にCalus博士によって書かれたものが参照にされます。彼は”巨大だったりとても大きいということはないが、ほどほどに大きく育つ”と書いています。
この犬種はずっとワーキング・コリー、オールド・ファッションド・コリー、ファーム・コリー、あるいはイングランド・コリーとして知られていました。1915年に、英国のインターナショナル・シープドッグ協会の会長が、初めてこの犬種を、ボーダー・コリーと呼びました。
史上で有名な犬
ボーダー・コリーの歴史を語るにおいて、この2匹の特徴ある犬は欠かせません:それはオールド・ヘム(Old Hemp)とウィストン・キャプ(Wiston Cap)です。過去において、英国では輝かしいボーダー・コリーが数多くいましたが、この2匹は今日のボーダー・コリーにとって非常に重要な影響を与えた犬達です。
オールド・ヘム(Old Hemp)はトライカラーの犬で、1893年生まれで1901年没です。彼は、優れた視力を持っていた、父犬ブラック&タンのロイ、そして母犬ブラック・コーテッドのメグの間に、アダム・テルファーによって繁殖されました。ヘム羊への反応が良く、敏捷でパワフルでした。多くの牧夫は彼らの牝犬を、このヘムを種牡として交配し、ヘムの仕事ぶりが、ボーダー・コリー式となりました。今日のボーダー・コリーのほとんどはこのヘムの血が流れているものと考えられています。
ウィストン・キャプは、インターナショナル・シープ・ドッグ協会のバッジに、ボーダー・コリーの特徴的な牧羊姿勢で肖像になっています。彼は歴史上最も人気の高い犬で、種牡として多く使われ、今日のボーダー・コリーの血統の中で非常に高い比重を占めています。W.S.ハザリントンによって繁殖され、ジョン・リチャードソンによって訓練された犬です。キャプはとても従順でとてもナチュラルな犬でした。彼の血統はスタッドブックの登録犬の初期の頃まで遡ることができます。またヘムの血を受け継いできたある犬の血統書を遡ると、7世代に渡ってなんと60回もヘムの名前がでてきました。
特筆すべき健康上の問題
あるブリーダー達は、不健康な繁殖犬を繁殖から除外して、そのような犬を繁殖に使わないようにした結果、この犬種では、他の犬種に見られるような遺伝的な病気での混乱はありません、と言っているようですが、それは間違っています。それは完全に間違っていて、ほぼ25%ものボーダー・コリーに、股関節形成不全症(HD)、目の病気、てんかんなどのような、遺伝性疾患が見られます。もしあなたが子犬を求めてブリーダーに連絡をしたとき、そのブリーダーがボーダー・コリーにはこのような遺伝性疾患はありませんなどと言うなら、他のブリーダーを探しましょう。更に、もしブリーダーが、私の繁殖犬には股関節形成不全や目の病気はないので検査はしていないと言うなら、やはり他のブリーダーを探しましょう。
股関節形成不全(HD)
ほとんどの中型〜大型犬種がそうであるように、ボーダー・コリーも股関節形成不全への傾向があります。ボーダーコリーは中程度〜重度のHDになることが多いので、少しでもリスクを少なくしたいなら、OFAなど、証明書で確実に示せるような信頼あるブリーダーから犬を譲り受けなくてはならないでしょう。
厳しいびっこ、あるいはとても痛がる重度の状態の犬を繁殖に使うと、またその子孫へと同じように厳しいHDを伝えます。中年期になると、軽い運動でもよくHDの徴候が現れてきます。たくさん運動させたあとなど、痛がってびっこになり、膝もそうなるかもしれません。それは犬自身が自分で動き回ったりストレッチをした後、いくぶんよくなったように見えます。これらの症状は年を取るのに従ってひどくなっていくかもしれません。治療法は、痛みの内科的コントロール(内服薬、運動制限、安静)から、何種類かの外科手術(全股関節置換術を含む)まで様々で、犬の状態(年齢、活動性)と飼い主の事情(経済力、犬のリハビリを行うための能力と意欲)によって決定できるでしょう。
骨軟骨症
この病気は、若犬の関節における痛み(通常6ヶ月令〜12ヶ月令の犬)で、骨軟骨症(OCD)と呼ばれるものです。この関節に起こる退行性関節炎は、子犬の栄養過剰、あるいは子犬の急激な成長も要因として考えられます。その処置は、運動制限(安静)をさせること、あるいは外科手術です。
進行性網膜萎縮
進行性網膜萎縮(PRA)と中心性網膜萎縮は、両眼に起こる遺伝性の目の疾患です。進行性網膜萎縮(PRA)は一般的に2歳頃に発現します。初期の頃は夜盲症のような症状です。犬はアイチェックを受けた両親犬から繁殖されなければならず、それは眼科の専門医のアイチェックの証明書によって証明されます。強調しますが、専門医による精密なアイチェックでは、この犬種においても非常に深刻なこの遺伝性疾患が見られることが報告されています。
コリー眼異常
コリー眼異常(CEA)とは、染色体の劣性遺伝で、強膜と脈絡膜に異常が発現する病気です。コリー眼異常(CEA)はボーダー・コリーで益々全体に増えている眼疾患です。進行性網膜萎縮(PRA)のように、このコリー眼異常(CEA)は盲目になります。生まれた1胎仔達は生後6週令〜10週令の間に、精密な眼科の検査を受けるべきです。もし子犬達がこの検査を受け、生まれた1胎全ての子犬達が異常なしと証明されたら、血統書にはそれが載ります。
てんかん
ボーダー・コリーは更にてんかんの傾向を持ち、この神経系の発作、錯乱は、非常に厳しい症状を呈します。てんかん発作は通常薬でコントロールしますが、それで効くものではありません。犬はてんかん発作のコントロール不可能でよく死に至るということが知られています。残念なことに、てんかんの検査はできません。ブリーダーに、彼らの繁殖している血統にてんかんがないかを質問しましょう。倫理観のあるブリーダーはそのことについて、喜んで、自ら進んでもっとあなたと話したがるでしょう。
Canine Celoid Lipofuscinosis 代謝異常(貯蔵病)
これは体内の神経細胞が冒される、非常に希な病気です。体細胞中にセロイド・リポフスチン(Ceroid Lipofuscin)という老廃物質が生産される、新陳代謝の欠陥です。生後18ヶ月(1歳半)までは全く正常に見えますが、それから現実のものとしてこの病気の徴候が現れてきます:それはある家族、そしてその血統中に不当な災いをもたらすものですが:歩行異常、足がよろける、ジャンプできない:痴呆症の行動、狂う、熱狂、狂ったような活動、激怒などです。この病気には何に治療法もなく、死に至ります。
聴覚障害(耳が聞こえない)
先天的な聴覚障害(聾)がボーダー・コリーでも問題となっています。もっと多くのブリーダーが、繁殖用の犬や生まれた子犬達の聴覚検査を行うようになることが望まれます。
悪性高熱症(Malignant Hyperthermia)
ごく一部のボーダーコリーが冒される、とてもまれな疾患ですが、この疾患は非常に重篤です。典型的なその徴候として、運動をした約5分〜10分後にふらつき始めます。もしそのまま走っていれば、バッタリと倒れるでしょう。冬場に高熱が出て、なかなか平熱に戻りません。どんな運動もストレスも、その誘因となり、この病気を冒します。熱がとても高熱になると発作を引き起こし、それは死への一撃となります。この症状(病気)を持つ犬は、非常に注意深い運動制限と監視を常時する必要があります。