バーニーズマウンティンドッグ
(バーニーズマウンティンドッグクラブオブジャパン発行
「オーナーズガイドブック」より)



歴史

バーニーズマウンティンドッグは原産国スイスで農場で働く犬としての歴史を持つ犬種です。家畜の警護や家畜追い、荷車を牽く作業犬として働いていました。

スイスではBerner Sennenhundと呼ばれます。Bernerはこの犬種が育ったスイスの首都ベルンに由来し、Sennenhundは、夏山に牛などを放牧するために追い立てるSennまたはSennerというスイスの牧羊業者に由来しています。 今日、バーニーズは農場でも都会でも、忠実なコンパニオンドッグ、セラピードッグ、警護犬として評価されています。

バーニーズの起源は正確に記録されていません。スイスの遺跡では紀元前300年頃の物とされる犬の化石が発見されています。それらの地犬にローマ人によって持ち込まれたマスチフタイプの犬が交配されたのだと思われます。17世紀の絵画には明らかにバーニーズのような容姿の農夫の犬が描かれています。19世紀の末に何人かのスイスの愛犬家がこの古い犬種の優れた特質をこのままにしておくことは良くないと思い、繁殖を始めました。ですから今日私達がバーニーズマウンティンドッグと呼ぶ犬種の原産地はベルンの南のDurrcach地方なのです。そして1907年、スイスにこの犬種のクラブが設立されました。その後この犬種はスイスで普及し、今日ではこの魅力的で実用的な犬種は他の国でもファンシャーを獲得しています。


概観

詳細はJKC又はBMDCA発行のスタンダードを参照して下さい。
バーニーズは光沢のある長く黒い被毛を基調に 頭部全面からマズルにかけて白いブレーズがあり 前胸部・足先・しっぽの先は白く目の上・頬・四肢中部には濃い黄褐色のマーキングを持つ独特のトライカラーの大型犬です。

牡は き甲での体高は 25〜27.05インチ(63.5〜69.85センチ)
牝は 23〜26インチ(58.42〜66.04センチ)
成犬牡の体重は 90〜125ポンド(40.86〜56.75キロ)
成犬牝の体重は 70〜100ポンド(31.78〜45.4キロ)
これらの数値は理想であり 例外もあります。
被毛は密生しており、中位の長さでわずかにウェーブしているかストレート。
スタンダードは 個々の人により異なったタイプ・方法で解釈される場合がありこれからバーニーズを飼おうとする人は選択の前に出来るだけ多くのバーニーズを見て勉強される様お薦めします。 ある犬はのんびり屋であったりある犬は不活発であったり、そしてある犬は全く活動的であったりします。ある人は他の犬に比べて骨量のある犬を選ぶしより密生したコートを重点に犬を選択する人もいます。頭部の形・タイプは 雄・雌の間でかなり違います。


気質

気質と個性は個々の犬によってそれぞれ差があります。しかし一般に成犬のバーニーズは穏やかな犬です。子犬や若い犬はやんちゃかもしれませんが。 典型的なバーニーズは控えめな性格で、見知らぬ人に愛想を振りまくことはしません。でも人の膝の上に乗ったりする犬もいますけど。

多くのバーニーズはオーナーの態度によって判断し、見知らぬ人への態度を決めます。すなわち、受け入れるべきか警戒すべきか判断するのです。素早く反応する犬も入れば、時間をかけて判断する犬もいます。子供や他の動物に対して生まれつき寛容な犬もいますし、そうでない犬もいます。

バーニーズは人間ととてもコミュニケーションを取りたがる犬です。この性質は他の犬種でも見られますが、特にバーニーズにおいてはほとんどの犬において見られ、それゆえ飼い主達はこの犬種を「特別」とか「面白い」とか言います。 バーニーズは裏庭で一人ぼっちにしておくような犬ではありません。もしバーニーズがふさわしい関心が払われず放っておかれたら、不幸で臆病で、大きい問題犬となってしまうでしょう。愛情としつけによって、バーニーズは飼い主の生活を豊かにしてくれるのです。

バーニーズは、飼い主の家を守ろうとする犬もいますけど、基本的には番犬ではありません。多くの犬は防衛本能は持っていないのです。彼らの良い性質、人間への愛と献身、物事を素早く学習する能力の中に、農家のコンパニオンとして育まれたこの犬種の長い歴史を見ることができます。彼らは犬小屋に閉じ込めておくべき犬ではありません。コンパニオンドッグとして人と共に暮らす犬なのです。


バーニーズマウンティンドッグを迎えるにあたって

あなたはバーニーズに何を求めていますか?
バーニーズは美しく、頼もしく、優しい最高の家庭犬となりうる犬で、訓練も入りやすく、素敵なパートナーとなることでしょう。しかしそれはオーナー次第です。ふさわしい動機と知識を持って迎えないと、不幸な結果を招くこともあります。本当にご自分にとってバーニーズがベストな犬種であるかをよく吟味し、迎える前に犬種について基本的知識を得てください。

バーニーズはコンパニオンドッグとして飼われるべき犬で、番犬として飼うべき犬ではありません。一般的にあまり吠えません。
家族の一員として飼われるべきで、家の中にも入れてあげるようにすることが望ましいでしょう。特に換毛期はたくさん毛が抜けます。
活動的な大型犬です。十分な運動とトレーニングが必要不可欠で、そのための時間をとらなければなりません。
大型犬ですから、食費・医療費などは小型犬や中型犬に比べるとかなりかかります。

1)飼育場所について
基本的には室内で飼うことが理想的で、屋外にフェンスで囲まれた運動場があればベストです。室外で飼う場合は清潔で十分な広さの犬舎が必要です。暑さに弱い犬種なので、夏場はエアコンや風通しのよい木陰などの涼しい場所が必要です。室内で飼う場合、関節の健全な発育なために、床はすべらないような工夫が必要ですし、十分な自由運動と日光浴もさせる必要もあります。鎖でつないで飼うなんて問題外です。

2)食餌
基本的な食餌は良質なドッグフードです。人間の食べる物や残飯などを多く与えると栄養バランスを崩すことになります。 ブリーダーのアドバイスや、愛犬の年齢、運動量、コンディション、体質などに合わせてフードの種類や量を決めることができるでしょう。成長期の肥満は関節に悪い影響を与えることがあります。

3)運動
成長期の子犬は骨や関節に負担をかけないようにしながら良い筋肉を作っていかなくてはいけません。十分な自由運動と無理のない引き運動が望ましいでしょう。 同時に十分な休息も必要です。成犬は毎日の適切な引き運動が必要となるでしょう。時間・距離は個々の犬の体調、体質によって異なってくると思います。

4)トレーニング
バーニーズは大型犬ですから、しっかりとしたしつけをしないと、飼う喜びがなくなり、苦労するばかりでなく、他人や社会に迷惑をかけることにもなりかねません。特に最初の一年は愛犬のトレーニングのためにたくさんの時間を取ってあげてください。何よりまず飼い主が学ぶことが大切です。

本来バーニーズは作業犬ですから、学ぶことが好きで、覚えも早いでしょう。飼い主を喜ばせることが好きで、オベディエンスやアジリティなどいろんな分野で楽しめると思います。パピーの頃から家庭でのしつけと基本的な服従訓練を始める必要があります。しつけ教室に通うことは犬に社会性も身につけさせることにもなりとても良いことです。

バーニーズは身体的にも精神的にもゆっくりと成長する犬ですからあまりせっかちにトレーニングしてはいけません。確固として一貫した、かつ根気良いトレーニングが必要です。そして楽しくトレーニングすることが成功の秘訣です。バーニーズは体は大きいですがデリケートな犬ですから、強制的なトレーニングは向きません。関節へのダメージを避けるために、バーニーズは2歳まではジャンピングや荷車引きはさせないほうが良いでしょう。


どこから子犬を入手するか

血統書がついているバーニーズマウンティンドッグはすべて同じではありません。これから8ー10年生活を共にするコンパニオンを選ぶわけです。買う前に十分勉強され、注意深く子犬を選んでください。

残念ながら、今日多くのバーニーズは単に利益目的で、あるいは興味本位で、無配慮に繁殖され、その結果、ふさわしくない性格を持った犬、遺伝性疾患を持った犬、本来の容姿から大きくはずれる犬が増えています。 また、お金さえ払えば誰にでも売り、売った後のアフターケアを全くしない、あるいはできないというケースも多いようです。決して衝動買いをしないでください。子犬はすべてかわいいものですが、安易な選択によって、その後何年も苦労を背負い込むことにもなるかもしれませんし、一度買ったなら、物のように交換したり廃棄したりはできないのです。そして、買う側が慎重にならない限り、利益目的や興味本位の無配慮なブリーディングは減ることはなく、不健全な犬はどんどん増やされていくでしょう。「どこから買うか」は犬種全体にも影響を及ぼすのです。


ブリーダーに質問すべきこと

以下のことを子犬を買おうとしているブリーダーに質問してみてください。シリアスブリーダーは誠実に質問に答えてくれるでしょう。そして買い手にもたくさん質問をするでしょう。

子犬を選ぶ

あなたのライフスタイル、購入目的、好みなどをブリーダーに誠実に話して、ブリーダーのアドバイスを受けながらあなたにふさわしいと思われる子犬を選びましょう。

ショーに出す、競技会に出す、将来ブリーディングを考えるなどの特別の目的がある場合はブリーダーに手伝ってもらって慎重に選んでください。「ショータイプ」の子犬というのはよりスタンダードに近い犬に成長するであろうと予想される子犬の事です。たいていの場合、一腹の中でもほんの1、2頭です。しかしどれが「ショータイプ」であるかは一般の人には判断は難しく、ブリーダーであっても好みによって意見が違うこともあります。そして予想通りの姿に成長しないこともしばしばです。

「ショータイプ」と「ペットタイプ」の違いはほんのわずかな構成の違いであり、家庭犬としての資質の優劣とはほとんど関係がありません。「ペットタイプ」だからといって家庭犬として劣っているということは決してないのです。良いシリアスブリーダーは容姿だけでなく性格や健全性、性能にも気を配ってブリーディングしていますから「ペットタイプ」であってもとてもクオリティの高い子犬を買えることが期待できるでしょう。

もし、様々な事情で、子犬のしつけに十分な時間を取る自信がない場合、年長の子犬あるいは成犬を迎えることも一つの選択枝です。ブリーダーは時々ショー用、ブリーディング用として手元に残した子が、ショーやブリーディングにふさわしい犬に成長しなかった場合、その犬を家庭犬として一般家庭に譲る時があります。また、何らかの事情で成犬を手放さなくてはいけなくなり、新しい飼い主を探している人もいます。

健全な性格を持ち、愛情深く育てられてきた犬なら、それほど問題なく短期間で新しい家族になじみます。そのような犬はトイレのしつけなど基本的なしつけが出来ていることでしょう。成犬を迎えることを考えたなら、その候補の犬についてできるだけの事を知るようにし、家族全員でその犬に会い、皆が望んでいる犬だと合意することが大事です。愛護団体などから、捨てられたり、虐待されていたバーニーズをもらいうけ育てることは、良い環境で育てられてきた成犬を譲り受けるよりも苦労や問題は多いと思いますが、報いは大きいと思われます。


遺伝性疾患について

すべての純血犬にはその犬種に特に多い遺伝性疾患があります。その程度はほとんど気が付かないものから命に関わるものまで様々です。たいていの場合複数の遺伝子が複雑に関与しているため正常な犬同士の交配でも発生することもあります。しかし、これらの問題を考慮しないブリーディングが増えていくと、問題のある遺伝子がどんどん増えていき、発生率も増加していきます。ですから繁殖前に遺伝性疾患の検査をし、選択繁殖をしていく必要があります。ブリーダーだけでなく一般オーナーもこれらの問題に関する知識を持つことが大切です。

1)股関節形成不全
これは股関節の形成の発達が悪い状態を差します。大型犬では最も問題となる遺伝性疾患です。この疾患には多くの遺伝子が関与していると言われています。

股関節形成不全は生まれたばかりの子犬ではわかりません。この疾患は進行性のものであり、通常は生後4ヶ月から9ヶ月の間の急速に成長する時期に症状が表れます。症状の程度はひどいびっこを引くものから、ほとんど症状を表さないものまで様々です。成長に従って、関節が安定したり、筋力がついたりして症状が安定することがよくあります。このような場合見た目ではほとんどわからず、ドッグショーでチャンピオンになることもありうるのです。ですから、レントゲン検査が股関節形成不全の唯一の診断方法です。そして進行性の疾患ですので、正確な診断は関節が十分に成熟した時点でないとできません。これはだいたい2歳とされています。

見た目でわからないような軽度の股関節形成不全の犬でも遺伝子が重なりあうことにより重症の股関節形成不全の子犬を生むことがよくあります。また、若い頃は全く症状がなくても老犬になってから生活に支障をきたすような関節疾患になることもあります。ですからブリーダーはたとえ見た目に正常でもレントゲンを撮り、正常な股関節であることを確認した犬のみを用いてブリーディングし、この疾患の発生を出来る限り少なくするような努力をしなければいけません。

子犬を買う人は正常な両親犬を持つ子犬を買うことにより100%ではないものの、リスクを少なくできるのです。 股関節の正確なレントゲン診断は専門医によって行われる必要があります。アメリカのOFAという機関に規定の撮りかたで撮ったレントゲン写真を送付すると、診断をし2才以上の合格犬には登録ナンバーを発行しています。診断費は2才以下の仮診断は20ドル、2歳以上の本診断は25ドルです。

日本からの依頼も受け付けてくれます。欧米では、このような股関節の登録をしている犬のみをブリーディングすることがホビーブリーダーでは常識であり、その努力によってこの疾患の発生は減少してきています。股関節形成不全の犬はブリーディングには使うべきではありませんが、多くの場合適正な体重管理や運動管理により、ごく普通の幸せな生活を送ることができます。重症の場合は薬物による治療や外科手術が必要となる場合があります。
ペットとして飼われている場合でも一度はレントゲンで股関節の状態を調べておくと良いでしょう。

2)肘形成不全
これも股関節形成不全とおなじくバーニーズに多い関節疾患で遺伝性の要因を持ちます。多くの場合、生後4ー6ヶ月時に前足のびっことして症状が表れますが、成犬あるいは老犬になるまでわからないことも多く、症状の程度も様々です。この疾患もレントゲン検査によってのみできます。股関節と同じくアメリカのOFAにおいて診断、登録が行えます。この場合も正式な登録ナンバーは2歳以上の犬に発行されます。

料金は2歳以上で股関節と両方送ると両方で30ドル(肘のみの場合は20ドル)です。ブリーディングする犬は股関節と同様、肘の検査と登録を行い、この疾患がある犬はブリーディングすべきではありません。

3)眼の病気
すべての犬種には遺伝性の眼疾患が存在します。バーニーズの場合は若年性の白内障と網膜疾患が問題となります。これらの疾患は初期の場合、専門医による検眼を行わないと発見は難しいようです。

欧米においてはブリーダーはブリーディングに使う犬は年に一度の専門医による眼の検査を受けさせ、異常がある場合はブリーディングに用いません。アメリカではCERFという機関において、専門医によって正常と診断された犬の登録を行っています。日本においては、専門医はきわめて少なく、ブリーダーが眼の検査を行う習慣もありませんが、最近行い始めている人達もいます。

4)その他
最近癌によって若くして死亡する犬が増えており、遺伝性の可能性も示唆されています。その他、甲状腺機能低下、アレルギー、てんかん等があります。